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若者もアンチエイジングを意識する時代? たばこ、サプリ、CBDの利用実態

石崎健人 |

密着型のエスノグラフィー調査から見えてきたZ世代の誤解。Z世代に対する一般論と実態のギャップ。若者の研究所にて、学生研究員が大人と対話をしながら自らの世代を分析する中で生まれた連載企画です。―――「えっ?そうなの?」大人が知らない「ビーリアルな」Z世代理解に迫ります。

アルコール・たばこ離れの一方、若者の間で流行しているCBDの魅力とは? 日常的に使用している現役大学生に聞いた。

今回の密着対象者

Kさん(21)大学4年生(男性)
2002年生まれ。東京都出身。都内私立大学に通学。たばこもお酒も経験はあるが、現在はほとんどしない。ストリートカルチャー&ファッションが好き。

CBDを初めて知ったのは、なんと10歳

カンナビジオール(CBD)は、大麻草の茎や種子から抽出された成分で、リラックス効果があると言われている。同じく大麻草から抽出するされる成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は酩酊効果があり、日本で違法成分だが、CBDは所持も摂取も合法とされている。

Kさんはリテラシーが高いストリート系の若者だ。KさんとCBDの出会いはいつどんなタイミングだったのだろうか。

実際にCBDを吸うよりはるか前、10歳の頃には知ってた。任天堂のWii Uのインターネット機能で、知らない言葉についてよく調べていて。少年ならではの好奇心で、イケナイものを調べていました。例えば大麻について調べたり。

すると、各国が出している資料と国連の資料で違うことが記載されていて、どれを信じればいいの?と思って、2ちゃんねる(インターネット掲示板)を見たりもしてました。

たばこを初めて経験したのは18歳の頃かな。周囲が吸っていたので手を出しました。体質的に苦手、というわけではないです。けど、色々と調べていたので体に良くないイメージがあって。吸ってから10分くらいキリッとしたり目が覚めるような感覚がありましたが、自身はその効果が欲しいわけではないなと気がついて。それで惰性で吸うのをやめて、たばこの代替品としてCBDに行き着いた感じです。

僕は成分やファクトを調べることが好きで。薬物動態がよくわからない怪しいものは選ばないとか、化合物が足されていると分子構造が変わって効果が変わってしまう、みたいなことも調べて。その上で選んだりしていて。

Kさんほど身体に入れるものを掘り下げてCBDを選んでいる人は、さすがに周りにはいないとのこと。

CBDをどうやって吸っている?

実際にKさんはどういうときにCBDを吸うのだろうか。

週に4~5日、ベイプ(加熱により気化させた蒸気を吸引するタイプのデバイス)で吸っています。

筋トレ後のクールダウンの時によく吸います。筋弛緩作用があって、筋肉痛が和らぐかな?と思って。実際に試してみたら筋肉痛が少し抑えられる感覚がありました。

また、少し冷静になりたい時にも吸ったりします。最近、奨学金が止まるかもしれない、というショックな出来事があって、落ち着きたくてCBDを吸いました。たばこを吸うのと同じ感じです。ベイプは煙が出るので、外出時は喫煙所で吸うことになります。IQOS(加熱式たばこ)を吸っている友達と喫煙所に行って。たまに僕のCBDと友達のIQOSを交換したりもします。

CBDが含まれたベイプ製品たち

CBDを吸う人ってどういう人たち?

CBDは人によって、いくつかタイプがいると思います。

健康志向:美容や不眠解消などを目的にしている人。MCTオイル(パームオイルやココナッツオイルなどから精製した中鎖脂肪酸含有量100%のオイル)と似た感覚で飲んだり、食べ物に混ぜて摂取していると思います。

ストリート系:海外のラッパーが大麻を吸っているのに憧れて、合法のCBDを吸っている人。

ファッション層:シーシャ感覚でたばこのように吸っている人。

CBDだけじゃない。大量サプリの摂取実態

CBDみたいな珍しい成分のほかにも何か飲んでいる?

筋トレをするのでプロテインは飲みます。あとはクレアチン、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミン12、ナイアシンなど飲んでいます。あと、アシュワガンダとバコパを飲んでいます。

けっこうたくさんのサプリを摂取している。そして聞きなれない怪しげな雰囲気のアシュワガンダとバコパ……。

アシュワガンダと、バコパはハーブですね。神経やメンタルを安定させるとか、睡眠に良いらしいとか。ハーブなのでエビデンスが確からしいかはわからないですが、興味本位で飲んでいます。「MSDマニュアル」という医学的な情報が載っているサイトを参照してiHerbで買いました。

iHerbというECサイトでハーブなどの製品が買える

アシュワガンダはiHerbで買った

若者ですらアンチエイジングをする時代

そこまでサプリを飲んで、Kさんは何を目指しているのだろうか。

お気に入りの海外の大富豪のインフルエンサーがいて。「永遠に生きたい」って言っているんですよ。完全に管理された運動をして、サプリを毎日40種類飲んで、いま40代なのに腸内の年齢が18歳、というの見て。それで、興味が湧いて僕もサプリを取るようになりました。超アンチエイジングみたいな感じですね。

といっても、Kさんは20歳前後の若者だ。それなのにアンチエイジングとは、どうして?

全盛期のときのような自分を取り戻したい、という感覚があるんですよね。小学生のころって、目覚めが良くてパワーがあった。そのときの活力を取り戻したいんです。

全盛期の小学生のころと比べると、昔より考えることが増えたし、気分が安定しなくなってきている感覚があります。脳が疲れるというか、リソース不足になる感じがあって。タスクが溜まっている感覚、そわそわしたり、焦燥したり。歳を取って子供のときにはなかった新しい感覚を感じています。アシュワガンダやバコパ、CBDに興味が出たのはそういう点です。

まとめ

若者からアンチエイジングという言葉が出たことに驚いてしまったが、「全盛期の自分を取り戻したい」という感覚は確かにミドル世代・シニア世代と変わらず共通している。

若者の感覚は敏感だ。子供のころと比べると年々脳内が忙しくなって疲れている、という感覚は、Z世代でデジタルデトックス、サウナ、瞑想が流行している背景を説明しているように思った。

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