Z世代の誤解とリアル。「ビーリアルな、密着エスノ記」

呪いのウサギ?世界中で話題急騰中の「ラブブ」はなぜ人気?

作成者: 石崎健人|Sep 17, 2025 6:03:13 AM
密着型のエスノグラフィー調査から見えてきたZ世代の誤解。Z世代に対する一般論と実態のギャップ。若者の研究所にて、学生研究員が大人と対話をしながら自らの世代を分析する中で生まれた連載企画です。――見かけなくなった職場結婚、ビール離れの実際、たばこに代わる嗜好品、奢る・奢られ論争の最前線――「えっ?そうなの?」、大人が知らない「ビーリアルな」Z世代理解に迫ります。

今回は、世界中でいま大人気のぬいぐるみ「ラブブ」マニアの若者に密着してきました。

今回の密着対象者

Hさん(29)会社員(女性)

1995年生まれのOL。趣味は多岐に渡り、お笑い鑑賞、サウナ、キャンプなど。自称サブカル系。最近は平成時代の懐かしいキャラクターグッズ収集に夢中。

ラブブって、なに?

若者のトレンドは目まぐるしくて、アラサーの私にはもうついていけません!

ラブブについて、早速教えてください!

 

ラブブは、中国のキャラクターです。中国のポップマートというおもちゃ屋さんで売っているグッズで、いま、世界中で大人気なんです。

 

バッグにつけたり、自分好みに服を着せたり、タトゥーを入れたりしてカスタマイズして遊ぶんです。

 

人気すぎて、転売ヤーが買い占めたりして中々買えないんです。1個2000円くらいなんですけど、メルカリとかバイマ(BUYMA)だと4~5倍くらいの値段で取引されてます。

 

偽物も大量に出回るくらい人気になりました。

 

購入するためには、ポップマートの店頭に朝から並ぶか、オンラインで抽選します。私は友達6人に手伝ってもらってオンライン抽選で応募して、ようやく当選しました。

私がラブブを知ったのは去年(2024年)の12月くらいです。

 

アメリカの友達が日本にやってきて。「何がしたい?」って聞いたら「ポップマートに行きたい」って言うのでそのときにラブブを知りました。

 

海外で流行っていて、日本は今月(2025年7月)にようやくブームがやってきた、という感覚です。

 

魔改造の上TikTokで公開されるラブブたち

ラブブについて
・香港出身のアーティストのカシン・ローン氏が、北欧神話の影響を受けて創作したストーリー「THE MONSTERS(ザ・モンスターズ)」に登場するキャラクター。
・中国の北京に本社を置く「潮流玩具(デザイナーズトイ)」と呼ばれる若者向け玩具のリーディング企業が運営する「POP MART(ポップマート)」にて発売されている。
・BLACK PINKのLISA、リアーナを始めとした、海外セレブやインフルエンサーがラブブをファッションアイテムとしてSNSに投稿し、人気に。

 

K-POPアイドルグループ“BLACK PINK”のLISAとラブブ

本当に世界中で人気なの?

私はアメリカとか海外のTikTokerを見るのが大好きなんですけど。

 

ポップマートの抽選でラブブの当選確率を上げたいがために「ラブブを持つと不幸になる」というデマをTikTokに投稿する人が、バズってます。信じる人いるのかわからないですけど(笑)

こないだフランスに旅行にいったとき、街中の欧米の人にすごい声かけられました。

 

バッグにラブブをつけていたんですが、それを見た人たちが「LABUBU大好き!」「私も欲しい」「どこで買ったの?」って話しかけてくるんです。街中の人だけじゃなくてホテルのエントランスの人とかにも声かけられました。

 

フランス旅行中に撮ったラブブ

なんでこんな人気なの?

POPアイドルが取り上げたから、とかはもちろんあるんですけど。ラブブはY2Kとか、「チャーム」の流行の波に乗っかったんだと思います。

Y2Kってのは、Y2000の略で、2000年代のファッショントレンドのリバイバルのことです。ギャルっぽいファッションですね。

 

最近だと、XGとかノノガ(No No Girls)のHANAとか、忽那汐里ちゃんとかがそういうファッションしてます。

バッグに「チャーム」をつけるのが流行っているんです。「チャーム」っていうのは、バッグにつけるキーホルダーとかグッズのことです。

 

バッグに自分のお気に入りのキャラクターグッズとかぬいぐるみをつけるのが流行ってます。このチャームをバッグにつけるのも、Y2Kトレンドですね。スマホにサンリオのキャラクターのストラップつけたり。

加熱式たばこのアイコス(IQOS)にちいかわをつけたり。

 

傘とかアイコスにつけるのチャームのことは「目印アクセサリー」って言います。無くさないように目印をつけるので、そう呼びます。

まとめ

SNS上で拡散され、「みんな知っているが、なかなか手に入らない」といったエルメスのバーキンのような状況になると、大きなバズ・流行になる、という感じだろうか。

ストリートブランドのSupremeとか、昔のたまごっち人気が海外で起きて、日本にやってきているようだ。他の若者たちにも話を聞くと、最近急にラブブを見かけるようになった、と言う。

数週間以内にはこのラブブブーム、もっと熱を帯びてくるのではないだろうか。