お守りを鞄にいくつもつけて、休日は友達と神社へ。Z世代のこうした行動は、スピ活という一つの言葉にまとまりました。マーケティング会社AMFが発表したJC・JK流行語大賞2025では、コトバ部門の3位にランクイン。スピリチュアル活動の略なのに、本人たちはどこまでも軽やかです。宗教でも本気の信仰でもない絶妙な温度感こそが、この言葉を読み解く鍵になります。
スピ活とは|神社巡りやお守り集めを指すZ世代の流行語
スピ活は、神社やパワースポットを巡る、お守りを集める、占いを楽しむといったスピリチュアルな活動をまとめて指す言葉です。受賞時のリリースでは「嫌なことがあったらスピ活しないと」という女子中高生の声が紹介され、お守りをいくつも集めて持ち歩く子が増えていると報告されました。
落ち込んだら甘いものを食べる。カラオケで歌って忘れる。その並びに、神社へ行くという選択肢が自然に加わったと考えるとイメージしやすいはずです。
就活や推し活と同じ〇〇活という語形も見逃せません。活動として名前がつくと、予定に組み込めて、友達を誘えて、SNSに投稿しやすくなります。行動に名前をつけてパッケージ化する感覚は若者言葉に共通する発想で、名づけられた瞬間にブームが加速するのはスピ活も例外ではありません。
スピ活の中身|ゆる願掛けの4系統
学生研究員と話していると、スピ活と呼ばれる行動はおおむね4つの系統に整理できます。
| 系統 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 神社仏閣 | 参拝、お守り集め、御朱印、おみくじ |
| パワースポット | 運気が上がるとされる場所や自然スポットへの旅 |
| 占い | タロットや星座占いの動画視聴、占いアプリ、性格診断 |
| 日常の願掛け | 開運待ち受け、パワーストーン、ラッキーカラーの取り入れ |
共通するのは、数百円から数千円で完結する手軽さです。
お守りは一つに絞らず、学業も恋愛も金運も欲張って集める。神社ごとのデザインの違いを楽しみ、鞄やスマホにつけて持ち歩く。ご利益を信じ切っているというより、集めて身につける行為そのものが楽しい。推しのグッズを集める感覚と、お守り集めがほとんど地続きになっています。
ガチではない|宗教とスピ活を分ける距離感
スピ活を理解するうえで欠かせないのが、本気度の低さです。特定の宗教団体に入るわけでも、高額なセミナーにお金を払うわけでもありません。信じるか信じないかで言えば、半分くらい信じているあたりを漂っていて、効果がなくても誰も怒らない。この軽さが安全装置として機能しています。
研究所でこの話題になったとき印象的だったのは、本気で信じたら逆に怖いという感覚が共有されていたことです。ゆるく楽しむ範囲にとどめるのが暗黙のルールで、深入りしそうな友達には引き留める空気さえある。スピリチュアルをレジャーとして消費する線引きは、大人が想像するよりずっとしっかりしています。
だからこそ、怪しいものにハマっていると心配するのは早計です。むしろ高額商品や過激な思想への警戒心は強く、無料か少額で楽しめる範囲だけを上手に切り取っている。この距離感は、Z世代の消費者としてのリテラシーの表れと見るべきでしょう。
なぜ今なのか|不安の時代のセルフケアとしてのスピ活
背景にあるのは、若者を取り巻く不安です。受験、就活、人間関係。SNSを開けば他人の成功が絶えず流れてきて、比較のストレスから逃れにくい時代になりました。
そんな中で神社に行くという行為は、スマホを置いて静かな境内を歩き、手を合わせて自分の願いを言葉にする時間になります。やっていることは、ほとんどマインドフルネスです。
努力ではどうにもならない領域に対して、何かしている感覚を持てることも大きいはずです。合格発表も、推しのチケット抽選も、結果は自分ではコントロールできません。だからお守りを買い、待ち受けを変えて、心の置き場所をつくる。雑誌のおまじない特集に夢中になった世代がいたように、10代の願掛け文化は昔から繰り返し現れてきました。スピ活はその最新形です。
神社仏閣との再接続|映えの先に生まれる文化の入り口
スピ活が面白いのは、若者の足を神社仏閣という伝統的な場所に向かわせている点です。御朱印集めやおみくじ、着物レンタルでの参拝は、旅行の定番コースになりました。きっかけは写真映えでも、通ううちに参拝の作法を覚え、季節の行事を知り、その場所の由緒に興味を持つようになります。
入り口がゆるくても、接点が生まれれば文化は引き継がれていきます。担い手不足が語られる伝統文化の世界にとって、スピ活は若者とつながり直す貴重なチャンネルです。2026年の若者トレンドを追ううえでも、この再接続の流れは見逃せません。
企画に活かすなら|ゆるさを壊さないことが絶対条件
メディア企画や商品開発でスピ活を扱うなら、守るべき一線があります。効果を断言しないこと、そして重くしないことです。ご利益を強く謳えば途端に胡散臭くなり、当事者たちが大切にしている軽やかさが壊れます。
相性が良いのは、集めたくなるデザイン、持ち歩ける小ささ、シェアしたくなる物語。逆に、不安を煽って購買につなげる設計は最も嫌われます。セルフケアの心地よさを支える側に回れるかどうかが、企画の成否を分けるでしょう。
若者研究所では、現役の学生研究員によるインタビューや座談会を通じて、スピ活のようなトレンドの背景にある心理を掘り下げ、企業のマーケティングと商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
スピ活とはどんな意味の言葉ですか?
神社やパワースポット巡り、お守り集め、占いなどのスピリチュアルな活動をゆるく楽しむことを指すZ世代の流行語です。スピリチュアル活動の略で、JC・JK流行語大賞2025のコトバ部門で3位に選ばれました。
スピ活は宗教とどう違うのですか?
特定の宗教団体への入信や高額な出費を伴わず、数百円から数千円で楽しめるレジャーに近い活動です。効果を本気で信じ込むのではなく、ゆるく願掛けを楽しむ距離感を保つことが特徴で、深入りしない線引きの感覚が共有されています。
なぜZ世代の間でスピ活が流行しているのですか?
受験や就活、SNSでの他人との比較など、不安を感じやすい環境が背景にあります。神社への参拝やお守りの収集は、自分の願いを言葉にして心を落ち着けるセルフケアとして機能しており、手軽に取り入れられる点も支持されています。


