ロブロックスに子どもが夢中な理由|ゲームではなく遊び場という正体

今日ロブロで集合ね。小学生がそんな約束をして帰っていく光景は、もう珍しくありません。大人の目には数あるゲームのひとつに映るロブロックスが、子どもたちにとっては放課後の公園に近い場所になっています。この構造を知っているかどうかで、α世代の見え方は大きく変わります。

ロブロックスの正体|1本のゲームではなく遊び場のプラットフォーム

ロブロックスは米Roblox社が運営するオンラインプラットフォームで、完成品のゲームソフトではありません。中にはユーザーがつくった無数のゲームや空間が並び、子どもたちはその日の気分で鬼ごっこ系の遊びに参加したり、ペットを育てたり、友だちの部屋に集まってただおしゃべりしたりします。
Roblox社の決算発表ではデイリーアクティブユーザーが1億5,000万人を超えたとされ、日本を含むアジア太平洋地域のユーザーは前年から倍近いペースで増えています。同社幹部は日本メディアの取材に、いまもユーザーの4割ほどは13歳以下だと語っています。世界中の子どもが毎日集まる、史上最大級の遊び場です。

研究所でも、ロブロックスをゲーム機の延長で捉えると本質を見誤る、という話をよくします。子どもたちがそこで手に入れているのは遊びというより、居場所です。

待ち合わせ場所になる理由|目的は遊びより一緒にいること

大人は遊びたいゲームを選んでから相手を探しますが、子どもたちは順番が逆です。まずロブロックスの中で友だちと集合し、それから何をして遊ぶかを決めます。かつての放課後の公園と同じ構造です。
実際に人気の高い体験には、家で暮らすロールプレイや街をぶらぶらするだけのものが目立ちます。攻略すべき目標は薄く、チャットで話しながら一緒に時間を過ごすこと自体が目的になっています。ひとりで画面を観るα世代のYouTube視聴が観客としての時間だとすれば、ロブロックスは住人としての時間です。SNSを持たない年齢の子どもにとって、ここが実質的な最初のSNSになっているとも言えます。

つくる文化|遊ぶ側とつくる側の境界がないUGC経済

ロブロックスの中のゲームは、その多くを運営会社ではなくユーザー自身がつくっています。無料の制作ツールRoblox Studioを使えば、子どもでもゲームを組み立てて世界中に公開できます。人気が出ればゲーム内通貨Robuxを通じて換金でき、10代のクリエイターが大きな収入を得た事例はたびたび報じられてきました。2025年に同時接続者数の記録を塗り替えたと報じられた育成ゲームGrow a Gardenも、小規模な個人開発から生まれた作品です。
子どもたちにとって、遊ぶことと作ることは地続きです。友だちがつくったゲームで遊び、今度は自分がつくる側に回る。この循環が、プラットフォーム全体を終わりのない遊び場にしています。

ブランドの参入事例|広告を出すのではなく遊び場を建てる

この巨大な遊び場には、グローバルブランドも入り込んでいます。よく知られているのが次の事例です。

ブランド 空間名 内容
ナイキ NIKELAND スポーツがテーマの常設空間。ミニゲームやアバター用アイテムを展開
グッチ Gucci Garden・Gucci Town 期間限定の展示空間から常設の街へ発展。アバター用デジタルアイテムも販売
ヴァンズ Vans World スケートパークを再現し、ボードやスニーカーを自分好みにカスタマイズできる

共通するのは、広告枠を買うのではなく遊び場そのものを建てるという発想です。テレビCMがほとんど届かない年齢層に、ブランドを体験として先渡しする。購買力を持つ前の子どもたちと関係を育てる、息の長い投資です。

保護者の視点|課金とチャット、どこまで許すか

一方で、保護者から寄せられる心配はお金と安全に集中します。押さえておきたいのは次の3点です。

  • 課金。アバターの服やアイテムはRobuxで購入します。友だちとの見た目の差が動機になりやすいので、月々の上限を親子で決めておくと運用しやすくなります
  • チャット。知らない人と接点が生まれる場でもあります。ロブロックスは年齢確認と年齢層別のチャット制限を強化しており、保護者向けの管理機能で細かく設定できます
  • 時間。友だちがそこにいる限り区切りがつきにくいため、終える時刻は画面の外のルールとして先に決めておく必要があります

気をつけたいのは、頭ごなしの禁止が友だちとの待ち合わせ場所からの締め出しになってしまう点です。何のゲームをしているかより、誰と遊んでいるかを聞くほうが、子どもの世界はよく見えてきます。

禁止か放任かの二択ではなく、公園に送り出すときと同じ感覚で関わる。研究所が保護者の方に伝えているのは、この距離感です。

ロブロックスから見えるα世代|若者研究所の視点

デジタル空間を現実の代替ではなく現実の一部として生きる感覚は、α世代の特徴そのものです。友だちづきあいも、創作も、ブランドとの最初の出会いも、ロブロックスの中で同時に起きています。ここを覗かずに次の10年の消費者を語るのは、公園を見ずにかつての子ども文化を語るようなものです。

若者研究所では、現役の学生研究員へのインタビューや定点調査を通じて、α世代・Z世代のリアルな遊びと消費を読み解いています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

ロブロックスは何歳から遊べますか?

Roblox社は全年齢向けのプラットフォームとして運営しており、年齢に応じてチャットなどの機能に制限がかかる仕組みです。13歳未満のアカウントは保護者向け管理機能の対象で、家庭での設定を前提に小学生にも広く遊ばれています。

ロブロックスは無料で遊べますか?

基本プレイは無料です。ゲーム内通貨のRobuxを購入すると、アバターの服やアイテムなどが買えます。課金しなくても十分遊べますが、友だちとの見た目の差が課金の動機になりやすいため、購入のルールを親子で決めておくと安心です。

企業がロブロックスに参入するメリットは何ですか?

テレビCMなどの広告が届きにくい子ども世代に、ブランドを遊びの体験として届けられる点です。ナイキやグッチのように専用空間を公開した事例が知られており、購買力を持つ前の世代と早くから関係を築く投資と位置づけられています。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。