気づけば何時間でも見ている。小学生の子どもを持つ親の悩みとして、YouTubeはほぼ必ず名前が挙がります。2010年代以降に生まれたα世代にとって、YouTubeはテレビ番組の代わりではありません。友だちとの話題、ゲームの攻略情報、暇つぶし、学びまでが詰まった生活インフラです。
学生研究員が弟や妹の視聴を観察した話を研究所で持ち寄ると、大人の想像とはずいぶん違う実態が見えてきます。
テレビよりYouTube|α世代のメディア接触の本丸
内閣府の青少年のインターネット利用環境実態調査では、小学生のインターネット利用の内容として動画視聴が一貫して最上位に挙がっています。α世代は物心ついたときから動画が検索の対象で、知りたいことがあればまず動画を探します。
象徴的なのは、テレビ番組を録画して見るという習慣がほぼ存在しないことです。見たいものを見たい瞬間に呼び出せるのが標準で、放送時間に合わせて待つという感覚そのものがありません。
人気ジャンルの定番|ゲーム実況・おもちゃ・検証系・ショート
研究員の弟妹たちの視聴履歴に並ぶのは、おおむね次の4ジャンルです。マインクラフト実況で人気のまいぜんシスターズ、体を張った企画のフィッシャーズ、そして親世代から見ても別格の知名度を持つヒカキンあたりは、教室の共通言語になっています。
| ジャンル | 内容の例 | 夢中になる理由 |
|---|---|---|
| ゲーム実況 | マインクラフトやフォートナイトの実況プレイ | 攻略情報と実況者のかけ合いを同時に楽しめる |
| おもちゃ・購入品 | おもちゃの開封、ガチャガチャ、文房具の紹介 | 買う前の疑似体験。買ってもらえない物も見て満足できる |
| 検証・実験系 | 大量購入、巨大工作、ドッキリなど体を張った企画 | 結末が気になり最後まで見てしまう |
| ショート動画 | 1分以内のネタ、ダンス、あるある | 次々に流れてきて、やめどきがない |
子どもはYouTuberを画面の向こうの芸能人ではなく、年上の友だちや近所のお兄さんのように感じています。テレビタレントよりも心理的な距離が近い。この近さこそが、おもちゃからお菓子まで、子どもの消費に対する影響力の源泉です。
リビングの主役はテレビのYouTube|視聴デバイスの現在地
子どものYouTube視聴と聞くとスマホを想像しがちですが、低年齢ほどリビングのテレビ画面で見ています。テレビのYouTubeアプリを自分で立ち上げ、リモコンの音声検索に向かって好きな実況者の名前を告げる。文字入力ができない年齢でも、視聴の壁にはなりません。
家族が同じ画面でゲーム実況を見て笑う光景は、形を変えたお茶の間の団らんでもあります。一方で、学年が上がるにつれて親のスマホやきょうだいのタブレットへと視聴は分散し、だんだんと個人の時間に変わっていきます。ここが、家庭のルールが揺らぎ始めるタイミングです。
倍速・スキップ・ショート|タイパ視聴は小学生から
倍速視聴やスキップは若者特有の習慣として語られてきましたが、実際にはもっと低い年齢から始まっています。前置きの長い動画は数秒で離脱し、実況のオープニングは迷わず飛ばす。サムネイルとタイトルで見る価値を瞬時に判断する目は、大人顔負けです。
そこに拍車をかけたのがYouTubeショートです。1分以内の動画が次々と流れてくる形式は、やめどきを子ども自身が設計できません。長い動画は自分で選ぶ、ショートは流れてくるものを浴びる。同じYouTubeの中に、能動と受動という2つの視聴が同居しています。
推し文化の低年齢化|なりたい職業もYouTuber
学研教育総合研究所の小学生白書では、小学生のなりたい職業の上位にYouTuberが定着して久しくなりました。好きな実況者は憧れの対象であると同時に、教室で友だちとつながるための共通言語でもあります。
動画の口まねをする、グッズを誕生日プレゼントに指定する、コラボしたお菓子を選ぶ。α世代の特徴として語られる推し活の早期化は、YouTubeを起点に進んでいます。アイドルより先にYouTuberを推す。この順番が、上の世代との決定的な違いです。
親のルールとの攻防|制限とすり抜けのリアル
時間制限アプリを入れる、リビングでしか見せない、宿題が終わってから。家庭ごとにルールは工夫を凝らしていますが、子どもの側もただ従ってはいません。友だちの家で見る、調べ学習を名目に検索する、タイマーが切れる直前に続きは明日と自分に言い聞かせる。攻防は日々続いています。
禁止は視聴をやめさせるのではなく、親に見えない場所へ移すだけです。研究員たちに自分の子ども時代を振り返ってもらっても、抜け道探しの記憶は驚くほど共通しています。
研究所で家庭の話を聞いていて感じるのは、うまくいっている家庭ほどルールを一方的に課すのではなく、子どもと一緒に決めているということです。何分までなら見てよいかを本人に宣言させる、見てよいチャンネルを一緒に選ぶ。手間はかかりますが、自分で納得したルールは意外なほど守られます。
若者研究所では、現役の学生研究員による弟妹世代の観察やグループインタビューで、α世代の生活実態を企業のマーケティングや商品開発につなげています。若者リサーチのご依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
子どもに人気のYouTubeジャンルは何ですか?
ゲーム実況、おもちゃや購入品の紹介、体を張った検証系、ショート動画が定番です。特にマインクラフトなどのゲーム実況は、攻略情報と実況者のかけ合いを同時に楽しめるため、小学生から強い支持を集めています。
子どもはスマホでYouTubeを見ているのですか?
低年齢ほどリビングのテレビ画面で見る家庭が多く、スマホやタブレットと使い分けられています。テレビのYouTubeアプリで家族が同じ動画を見る光景は、かつてのテレビ番組の団らんに近いものになっています。
子どものYouTube視聴時間はどう管理すればよいですか?
一方的な禁止は親に見えない場所での視聴に移りやすいため、時間や場所のルールを子どもと一緒に決める方法が現実的です。ペアレンタルコントロール機能や視聴時間の通知を併用する家庭も増えています。


