2026年の春、α世代の最年長が高校の制服に袖を通しました。マーケティングの現場ではまだZ世代の話題が中心ですが、次の世代はすでに教室で育ち、家庭の買い物を動かし始めています。生まれた瞬間からタブレットと音声AIがそばにあった、人類史上もっともデジタルな世代。それがα世代です。
- α世代とは|2010年ごろから生まれた21世紀生まれだけの世代
- α世代の年齢と学年|2026年時点の対応表
- 生まれた時からデジタル|タブレット・YouTube・音声AIが標準装備
- Z世代との違い|比較表で見る5つのポイント
- 親はミレニアル世代|デジタルに慣れた親に育てられる最初の世代
- 遊びと学び|ゲームが遊び場になり、プログラミングが必修になった
- メディア接触|テレビよりYouTube、長い動画よりショート動画
- 消費への影響力|家庭の買い物を動かす小さな意思決定者
- α世代マーケティングの注意点|親子二層・倫理・変化の速さ
- α世代の次はβ世代|世代の物語はもう次章へ
- まだ小さいからと後回しにする前に|若者研究所からの視点
- よくある質問
α世代とは|2010年ごろから生まれた21世紀生まれだけの世代
α世代(ジェネレーション・アルファ)は、おおむね2010年代前半から2020年代半ばまでに生まれた世代を指します。提唱したのはオーストラリアの世代研究者マーク・マクリンドル氏。X、Y、Zとアルファベットを使い切ったあと、ラテン文字に戻るのではなくギリシャ文字の最初の文字が選ばれました。古い世代への回帰ではなく、全員が21世紀生まれというまったく新しい世代の始まりを示す名前です。
起点となる2010年は象徴的な年でした。初代iPadが発売され、Instagramが誕生した年です。マクリンドル氏の推計では、α世代は世界でおよそ20億人に達し、人類史上最大の世代になるとされています。日本では少子化で人数こそ少ないものの、そのぶん1人の子どもに注がれる大人のお金と関心は、過去のどの世代より濃くなっています。
α世代の年齢と学年|2026年時点の対応表
2026年度の時点で、α世代はおおむね1歳から16歳。最年長がちょうど高校1年生で、ボリュームゾーンは小学生です。
| 生まれ年(年度) | 2026年度の学年 |
|---|---|
| 2010年度 | 高校1年生 |
| 2011年度 | 中学3年生 |
| 2012年度 | 中学2年生 |
| 2013年度 | 中学1年生 |
| 2014年度 | 小学6年生 |
| 2015年度 | 小学5年生 |
| 2016年度 | 小学4年生 |
| 2017年度 | 小学3年生 |
| 2018年度 | 小学2年生 |
| 2019年度 | 小学1年生 |
| 2020〜2022年度 | 年少〜年長 |
| 2023年度以降 | 未就園児 |
α世代を知ることは、いまの小中学生のリアルを知ることとほぼ同じ意味を持ちます。
そして最年長組は、あと数年で進学や就職の選択を迎える手前まで来ています。
生まれた時からデジタル|タブレット・YouTube・音声AIが標準装備
Z世代がデジタルネイティブと呼ばれたのに対し、マクリンドル氏はα世代をジェネレーション・グラスと表現しました。ガラスの画面越しに世界と出会う世代、という意味です。
- 離乳食の時期からタブレットで動画を見て育つ
- 文字を覚える前に音声検索で動画を探し当てる
- アレクサやSiriに話しかけて疑問を解決する
- 祖父母とのやりとりはビデオ通話が当たり前
彼らにとってインターネットは道具ではなく、空気のような環境そのものです。
調べるより先に話しかける。読むより先に見る。この感覚の違いが、メディア接触や消費行動のすべてにつながっていきます。
若者研には、α世代の弟や妹がいる研究員が何人もいます。その観察がとても面白いのです。
ある研究員は「小3の妹は、わからないことがあるとまずYouTubeで検索する。文字より先に動画なんです」と話してくれました。別の研究員の弟は、テレビよりタブレットの画面を指でスワイプしようとしたそうです。
Z世代の研究員たちですら「自分たちとは違う」と驚く。この距離感が、α世代を独立した世代として見るべき理由だと感じています。
Z世代との違い|比較表で見る5つのポイント
すぐ上のZ世代とは連続した世代に見えますが、育った環境は大きく異なります。Z世代の特徴と並べると、その差がはっきりします。
| 項目 | Z世代 | α世代 |
|---|---|---|
| 生まれた時期 | 1990年代後半から2010年ごろ | 2010年ごろから2020年代半ば |
| 親の中心世代 | X世代 | ミレニアル世代 |
| 最初に触れる端末 | スマートフォン | タブレット・音声AI |
| 学校のICT環境 | 紙が中心で端末は一部 | 1人1台端末が前提 |
| 象徴的な出来事 | スマホとSNSの普及 | コロナ禍とオンライン授業 |
とくに大きいのが学校環境です。Z世代にとってデジタルは放課後に自分で手に入れるものでしたが、α世代にとっては授業で配られるものです。デジタルが個人の遊び道具から社会の標準装備へ変わった。この一点だけでも、2つの世代を同じくくりで語れないことがわかります。
親はミレニアル世代|デジタルに慣れた親に育てられる最初の世代
α世代の親の中心は、1980年代から1990年代半ばに生まれたミレニアル世代です。自身が若いころからインターネットとSNSを使いこなしてきた親に育てられる、史上初めての子どもたちといえます。
- 子育て情報はSNSと口コミアプリで集める
- 子どもの成長記録をSNSで共有するシェアレンティングも一般化
- 動画やゲームを頭ごなしに禁止せず、付き合い方を一緒に考える
- 習い事や教育サービスはオンラインで比較検討する
ゲームを敵視する親に隠れて遊んだ世代と、ゲーム実況を親子で一緒に楽しむ世代。家庭のなかのデジタルへの距離感が、まるで違うのです。
遊びと学び|ゲームが遊び場になり、プログラミングが必修になった
α世代の遊びの中心はゲームです。ただしその意味合いは以前と変わりました。マインクラフトやロブロックス、フォートナイトは、勝ち負けを競う場である以上に、友だちと集まっておしゃべりしながら何かをつくる遊び場になっています。
研究員と話していると、年の離れた弟や妹が友だちと遊ぶ約束をしてゲームにログインする話がよく出てきます。上の世代が公園や放課後の教室で過ごした時間を、α世代はゲームの中で過ごしているのです。
学びの環境も一変しました。2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化され、文部科学省のGIGAスクール構想で小中学生に1人1台の学習端末が行き渡りました。コロナ禍はこの流れを一気に加速させ、低学年からオンライン授業も経験しています。
遊びながらものづくりを覚え、教室ではタブレットで調べ学習をする。遊びと学びの境界線が、かつてなく曖昧な世代です。
メディア接触|テレビよりYouTube、長い動画よりショート動画
α世代にとって映像の入口はテレビではなくYouTubeです。見たい時に見たいものだけを見る視聴スタイルが物心つく前から身についているため、放送時間に合わせて番組を待つという発想自体がありません。内閣府の青少年のインターネット利用環境実態調査でも、低年齢の子どものインターネット利用でもっとも多い目的は動画視聴です。
近年はさらに、TikTokやYouTubeショートのような短尺動画が中心になり、冒頭の数秒で面白いかどうかを判断する習慣が根づいています。Z世代のSNS利用がテキストと画像から動画へ移ってきた流れの、さらに先を行く形です。SNSデビューの前に、動画とゲームでコミュニティを経験しているのがα世代だといえます。
消費への影響力|家庭の買い物を動かす小さな意思決定者
自分の財布はまだ小さくても、α世代は家庭の購買決定に強い影響力を持っています。マーケティングの世界でペスターパワーと呼ばれてきた子どものねだる力は、この世代で質的に変わりました。ねだるだけでなく、自分で情報を集めて親に提案するからです。
- 欲しいものはレビュー動画で下調べしてから親に交渉する
- 外食や旅行の行き先選びに子どもの意見が反映される
- 親のスマホ経由で欲しいものリストを共有する
ミレニアル世代の親は子どもの意見を尊重する傾向が強く、家族の消費はますます子ども起点になっています。α世代を捉えることは、その後ろにいる親世代の財布を捉えることでもあるのです。
α世代マーケティングの注意点|親子二層・倫理・変化の速さ
α世代へのアプローチには特有の難しさがあります。研究所が企業から相談を受けるなかで、繰り返し話題になるのは次の3点です。
1つめは親子二層の設計です。子どもの心をつかんでも、最終決定は保護者が握っています。子どもへの魅力と親への安心感を同時に成立させる必要があります。
2つめは倫理と規制への配慮です。子ども向けの広告表現や個人情報の扱いには厳しいルールがあり、保護者の目も年々シビアになっています。信頼を一度失えば、親子の両方を失います。
3つめは変化の速さです。小学生の流行は数か月単位で入れ替わります。一度の調査でわかった気にならず、定点で追い続ける体制が欠かせません。進め方の詳細は若者リサーチの方法にまとめています。
α世代の次はβ世代|世代の物語はもう次章へ
マクリンドル氏の区分では、2025年以降に生まれた子どもたちはβ世代(ジェネレーション・ベータ)と呼ばれます。2039年ごろまで続くとされ、生成AIが当たり前になった後に生まれる最初の世代です。α世代がタブレットと育つ世代なら、β世代はAIと育つ世代になるでしょう。
α世代の理解は、この次の世代を読み解くための土台にもなります。
まだ小さいからと後回しにする前に|若者研究所からの視点
α世代はまだ子どもだから自社には関係ない。企業の担当者からよく聞く言葉です。しかしZ世代がそうだったように、世代の価値観は10代のうちに形づくられ、大人になってから大きく変わることはほとんどありません。
研究所でよく話題になるのは、Z世代向けの施策が間に合わなかった企業の多さです。その世代が消費の主役になってから慌てて調べ始めても、ブランドへの第一印象はすでに固まっています。α世代の最年長は、もう高校生です。
幸い、α世代はまだ観察しやすい位置にいます。兄姉にあたるZ世代、親にあたるミレニアル世代との関係のなかで育っているため、家庭という単位でリアルな行動を捉えられるからです。2026年の若者トレンドと合わせて定点で見ていけば、この世代が消費の主役になる瞬間に先回りできます。
若者研究所では、現役の学生研究員によるグループインタビューや定点調査で、Z世代とα世代に向けた企業のマーケティングと商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
α世代とは何歳から何歳までですか?
おおむね2010年代前半から2020年代半ばに生まれた世代を指します。2026年時点ではおよそ1歳から16歳で、最年長は高校1年生にあたります。
α世代という名前の由来は何ですか?
オーストラリアの世代研究者マーク・マクリンドル氏が提唱しました。X、Y、Zとアルファベットを使い切ったため、ギリシャ文字の最初の文字であるアルファが選ばれ、全員が21世紀生まれという新しい世代の始まりを意味しています。
α世代とZ世代の違いは何ですか?
Z世代はスマートフォンとSNSの普及とともに育ちましたが、α世代は幼少期からタブレットや音声AIに囲まれ、学校でも1人1台の端末で学んでいます。親の世代もX世代中心からミレニアル世代中心へ変わっています。
α世代の次の世代は何と呼ばれますか?
β世代と呼ばれます。マーク・マクリンドル氏の区分では2025年以降に生まれた子どもが該当し、生成AIが普及した後に生まれる最初の世代とされています。


