勉強でのChatGPT活用法|成績が伸びる使い方と危ない使い方

テスト前にまずChatGPTへ質問を投げる。参考書より先にAIに聞く。若者研究所の学生研究員にとって、これはもう特別な行動ではありません。ただ、同じように使っているつもりでも、成績が伸びる使い方と、じわじわ学力を削る使い方がはっきり分かれてきました。研究員たちの実践から見えてきた、その分かれ目を整理します。

いちばん効くのは、わからない問題の解説役

研究員の間で評価が高いのは、答えを教えてもらう道具ではなく、わかるまで付き合ってくれる先生として使う方法です。数学の問題でつまずいたとき、解答集を見ても途中式の意味がわからないことがあります。そこでChatGPTに、この式変形はなぜ成り立つのか、もっと簡単な例で説明してほしい、と食い下がる。
人間の先生と違って、何度同じ質問をしても嫌な顔をされません。深夜でも、質問が的外れでも付き合ってくれます。塾に通っていない生徒にとって、24時間質問できる相手がいる意味は想像以上に大きいのです。

要点整理・英作文の添削・面接練習|定番になった使い方

解説役のほかにも、研究員たちの勉強に定着している使い方があります。共通するのは、自分で考える工程を手放していないことです。

使い方 AIに任せること 自分に残すこと
解説役 わかるまで説明を変えてもらう 手を動かして解き直す
要点整理 章の全体像をまとめてもらう 細部を教科書で確かめる
英作文の添削 文法の指摘と言い換え案 まず自分で書く
面接練習 面接官役として深掘りの質問 自分の言葉で答える

特に英作文の添削は、まず自分で書いてから直させるという順番を守っている限り、紙の問題集ではできなかった学び方です。書いた英文に対して、より自然な言い回しを何パターンも出してくれる相手は、これまで英語の先生しかいませんでした。
面接練習も評判がよく、志望理由を話すと面接官役になって深掘りしてくれます。想定問答を一人で回せるので、本番前の不安つぶしに使う研究員が目立ちます。

丸写しレポートは想像以上にバレる

危ない使い方の筆頭が、レポートや読書感想文の丸写しです。大学では生成AIの利用方針を定める動きが広がり、教員の側も、文体の急な変化や中身のない一般論の羅列にはすぐ気づきます。
研究員から聞く失敗談で多いのは、バレたかどうか以前の話です。提出したレポートについて口頭で質問され、自分が書いたはずの内容を説明できなかった。この気まずさは、点数の減点よりずっと長く残るようです。

本当に怖いのは理解の外注化

丸写しよりも見えにくく、根が深いのがこちらです。わからない箇所をAIに埋めてもらいながら進むと、勉強は止まらなくなります。その快適さの裏で、自分がどこをわかっていないのかに気づく力が弱っていきます。

研究所で議論を重ねて行き着いたのは、答えを出す力より先に、答えが正しいかどうかを見抜く力が痩せていくのではないか、という懸念でした。

ChatGPTはもっともらしい間違いを自信のある口調で出すことがあります。鵜呑みにする習慣がつくと、検算する、出典を確かめるという学びの基礎体力が落ちていく。答えそのものより、答えを疑う習慣を先に失うことが、いちばんの損失です。

学校のルールと、実際の使われ方のギャップ

文部科学省は学校現場での生成AIの利活用についてガイドラインを公表し、教育の現場は活用の仕方を模索する段階に入っています。ただ、実際のルールは学校ごとにばらばらです。授業に取り入れる学校もあれば、事実上の全面禁止という学校もあります。
一方で研究員と話していると、禁止されている学校の生徒も家では普通に使っています。宿題そのものではなく、わからなかった授業の復習に使うなど、ルールの隙間で自分なりの線引きをしている。禁止か許可かの二択ではもう実態に追いつかず、使い方の質をどう教えるかという段階に来ています。
そもそも調べものの起点が検索エンジンからAIへ移りつつあることは、Z世代のAI検索行動の分析でも書いたとおりです。

AIに教わる学習の得意不得意|保護者と教育業界が見ておくべきこと

AIに教わる学習には、はっきりした得意と不得意があります。

  • 得意|個人のペースに合わせた反復、恥ずかしさを感じずにできる質問、考えを言語化する壁打ち
  • 不得意|勉強そのものへの動機づけ、答えの正確さの保証、手を動かして最後まで解き切る経験

不得意の部分は、これからも人間の教師と紙のノートが担います。だからこそ保護者にできるのは、取り上げることではなく、何に使ったかを気軽に話せる関係をつくることだと考えています。使い方を隠させた時点で、危ない使い方は見えなくなります。
教育業界にとっては、AIで一瞬で終わる宿題を出し続けるのかという、課題設計そのものの見直しが迫られている局面です。こうした学び方の変化は、AIネイティブとして育つ世代の入り口にすぎません。道具を禁止するより、道具ごと理解するほうが、若者の実像に近づけます。

若者研究所では、現役の学生研究員へのインタビューや定点調査を通じて、AIと若者の関係を継続的に観察しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

ChatGPTを使うと成績は上がりますか?

使い方次第です。わからない問題の解説役や英作文の添削のように、自分で考える工程を残す使い方なら理解が深まります。答えの丸写しは短期的に楽でも、試験で自力で解けない状態が残ります。

学校でChatGPTが禁止されている場合はどうすればいいですか?

学校のルールに従うことが前提です。そのうえで、提出物への利用と家庭学習での質問は分けて考えられます。禁止の範囲がどこまでなのか、先生に確認してから使うのが安全です。

ChatGPTの答えはそのまま信用していいですか?

そのまま信用するのは危険です。もっともらしい間違いを自信のある口調で出すことがあるため、教科書や辞書で確かめる前提で使う必要があります。計算や年号などの事実は必ず別の情報源と照らし合わせてください。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。