Z世代はもうググらない?TikTok検索からAI検索へ移る調べ方の今

調べものはまずChatGPTに聞く。研究所で学生研究員と話していると、そんな声を聞く機会がこの1、2年で明らかに増えました。ハッシュタグをたどるタグる検索がZ世代の代名詞になったのは、もう何年も前のこと。いまはその隣にAIに聞くという新しい入口が育ち、調べ方の勢力図がまた動き始めています。

ググる、タグる、AIに聞く|検索の入口はこう増えてきた

Z世代の検索行動は、入口が増える形で変わってきました。検索エンジンで調べるググるが土台にあり、そこへInstagramやTikTokのタグをたどるタグるが加わり、さらにChatGPTなどの生成AIに聞くという第三の入口が乗った。前のやり方が消えたのではなく、地層のように積み重なっています。

特徴的なのは、AIへの移行に構えがないことです。学生のうちに生成AIが当たり前になったAIネイティブに近いこの世代にとって、AIに聞くのは新技術の採用というより、検索窓がもうひとつ増えた程度の感覚です。授業の課題、バイト先へのメールの文面、進路の相談。かつて検索窓に打ち込んでいた悩みの一部が、静かにAIとの対話へ移っています。

AIに聞くのが向いているのは要約と比較と相談ごと

研究員たちの使い方を聞いていくと、AIが選ばれる場面にははっきりした共通点があります。

  • 要約。長い記事や動画の内容を先に短くつかみたいとき
  • 比較。パソコン選びや奨学金制度など、条件が入り組んだ調べもの
  • 相談ごと。就活の自己分析から人間関係まで、誰に聞けばいいか分からない問い

共通するのは、答えがひとつに定まらず、自分の状況に合わせた整理が必要だという点です。検索結果をいくつも開いて読み比べる作業を、AIは一度の対話で肩代わりしてくれます。
しかも聞き方が下手でも怒られない。恥ずかしい質問も履歴に残るだけで誰にも知られない。この心理的な軽さも、相談ごとがAIへ流れる理由になっています。

研究員の使い方を見ていると、AIは調べる道具というより、考えを整理してくれる壁打ち相手に近い存在です。検索と呼ぶより相談と呼ぶほうが実態に合っています。

それでもSNS検索が手放されない場面

ではAIがあればSNS検索は要らなくなるのかというと、そう単純ではありません。カフェの内装、コスメの発色、古着のコーディネート。実物の見た目や空気感を確かめたい調べものでは、いまもTikTokやInstagramが最初の入口です。
同世代のリアルな口コミ、盛りすぎていない動画、コメント欄の温度感。こうした生の情報はAIの要約では代替がききません。SNSの使い分けの上に、AIという新しい層が重なったと捉えるのが正確です。

入口 向いている調べもの
検索エンジン 公式情報や営業時間の確認、事実の裏取り
SNS検索 見た目や雰囲気の確認、同世代のリアルな口コミ
生成AI 要約、条件が入り組んだ比較、正解のない相談ごと

AIの答えを鵜呑みにしない距離感

意外に思われがちですが、研究員たちはAIの回答をそのまま信じているわけではありません。AIは自信ありげに間違えることがあると知ったうえで、たたき台として使っています。
気になる答えが返ってきたらSNSで実際の声を確かめ、公式サイトで裏を取り、ときには友達に聞く。フェイク情報や炎上を見ながら育った世代だけに、ひとつの経路だけで信じ切らない習慣が身についています。AIもその複数ある経路のひとつにすぎません。

AI検索を後押しする検索疲れ

AI検索がこれほど早くなじんだ背景として、研究所でよく話題になるのが検索疲れです。ググれば広告と似たり寄ったりのまとめ記事が並び、どれが信頼できるか自分で見極めなければならない。SNSを開けば大量の投稿が流れてきて、比較しているうちに時間が溶けていく。
選択肢を並べられるより、自分に合いそうな答えをすっと差し出してほしい。AIの楽さはここに刺さっています。調べる体力を節約して、決めることに集中したいのです。

効率がいいからAIを使うというより、疲れないからAIに寄っていく。この順番を取り違えると、Z世代のAI利用は読み解けません。

マーケターへの示唆|AIに引用される情報源になる

この変化は、企業の情報発信の前提を変えます。若者が検索結果の一覧を眺めず、AIの回答だけを読む場面が増えるなら、AIが回答をつくるときに参照される情報源に入れるかどうかが、認知の入口を左右するからです。

  • 公式サイトに一次情報を明確に載せる。価格や仕様、日付を曖昧にしない
  • よくある質問への答えを整理し、AIが引用しやすい構造にする
  • SNS上の等身大の評判を育てる。AIで候補を絞りSNSで確かめる二段構えに備える

広告で露出を買うだけでは、AI回答経由の接点は生まれません。AIネイティブ世代との接点づくりは、検索エンジン対策とAIに引用される情報設計の両輪で考える段階に入っています。

若者研究所では、現役の学生研究員へのグループインタビューや定点調査を通じて、Z世代の検索行動や情報との付き合い方を明らかにし、企業のマーケティングと商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代はAI検索をどんな場面で使っていますか?

長い情報の要約、条件が入り組んだ比較、誰に聞けばいいか分からない相談ごとの三つが中心です。答えがひとつに定まらず、自分の状況に合わせた整理が必要な調べもので選ばれやすく、検索というより壁打ち相手に近い使われ方をしています。

AI検索が広まるとSNS検索は使われなくなりますか?

使われなくなるとは考えにくいです。カフェの雰囲気やコスメの発色など、実物の見た目や同世代のリアルな口コミを確かめたい調べものでは、TikTokやInstagramが引き続き入口になっています。AIとSNSは目的ごとに使い分けられています。

AI検索の広がりに企業はどう対応すべきですか?

AIが回答をつくるときに参照されやすい情報源になることが重要です。公式サイトに価格や仕様などの一次情報を明確に載せ、よくある質問への回答を整理し、あわせてSNS上の等身大の評判を育てることが基本の対応になります。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。