Z世代グループインタビューのコツ|本音を引き出す設計と進行の技術

Z世代を集めたグループインタビューで、当たり障りのない模範解答ばかりが並んでしまう。企画の相談を受けるなかで、そんな悩みを聞く機会が増えました。
若者研究所には、企業の調査に答える側として参加してきた学生研究員が大勢います。彼らの体験談から見えてくるのは、Z世代が黙るのは関心がないからではなく、場の設計でほぼ決まっているという事実です。

Z世代がグループインタビューで黙る3つの理由

研究員たちに答える側だった頃の話を聞くと、口が重くなる理由は驚くほど共通しています。

  • 正解を探してしまう。授業やエントリーシートで相手の求める答えを推測する訓練を積んできたため、企業の調査と聞いた瞬間に担当者が喜びそうな回答を組み立て始めます。
  • 同調圧力に流される。最初の発言者の意見が場の基準になり、違う感想を持っていても、私もそんな感じですと合わせてしまいます。
  • 大人に忖度する。年上のモデレーターを前にすると、否定的な意見や普段のテンションを出すことにブレーキがかかります。

謝礼をもらう以上きちんとした意見を言わなければという気持ちが先に立って、友達に話すような本音は最後まで出せなかった。ある研究員は答える側だった経験をそう振り返ります。

沈黙は参加者の態度の問題ではなく、構造の問題です。だからこそ設計と進行で解けます。

場の設計|人数は少なく、属性は同質に

まず人数です。6名を超えると発言の順番待ちが生まれ、様子見の時間が長くなります。Z世代の場合は4名前後まで絞ると、ひとりあたりの発言量が増えるだけでなく、他人の陰に隠れるという選択肢が消えます。
次にグループの組み方です。学年や生活圏、テーマへの関与度をできるだけ揃えます。就活を終えた4年生と入学したての1年生が同席すると、それだけで上下関係の空気が生まれ、若い側が聞き役に回ってしまいます。仲の良い友人同士のペアで招く方法も、初対面の緊張を最初から取り除けるので有力です。

こうした座組みは、調査目的や手法選びとセットで決めるものです。企画段階からの手順は若者リサーチの進め方で整理しています。

アイスブレイクは自己紹介から始めない

名前と所属と趣味を順番に言わせる自己紹介は、面接の空気をそのまま会場に持ち込みます。研究所でよく使うのは、最近買ってよかったものをスマホの写真で見せてもらう方法です。
画面を見せ合う動作が入ると視線がモデレーターから外れ、参加者同士の横の会話が自然に生まれます。モデレーター自身が先に自分の写真を見せて少し笑われておくと、ここは正解を答える場ではないというメッセージが言葉より早く伝わります。

同世代モデレーターがいると語彙が変わる

若者研究所では、学生研究員がモデレーターや進行補助として同席する形をよく取ります。効果がいちばん表れるのは言葉づかいです。
大人が言い回しの意味を聞き返すと、参加者は解説モードに切り替わってしまいます。同世代が普通に相槌を打つだけで、SNSで使っている語彙のまま話が続きます。翻訳されていない生の言葉が録れるかどうかは、そのまま分析の質を左右します。

研究所で繰り返し確認してきたのは、Z世代は話したくないのではなく、話しても大丈夫だと確認できるまでが長い、ということです。同世代の存在はその確認時間を一気に縮めます。

質問の言い換え|なぜと聞かずに、どんなときと聞く

なぜ好きなのですかと聞かれると、人は後付けの理屈を組み立てます。正解探しの癖があるZ世代には、なぜという問いは尋問のように響きます。質問は行動ベースに言い換えます。

  • なぜ使うのですか、ではなく、どんなときに開きますか
  • なぜ好きなのですか、ではなく、最後に使ったときのことを教えてください
  • どう思いますか、ではなく、友達にはなんと説明していますか

理由は本人に言語化させるものではなく、語られた行動の描写からモデレーターが拾い上げるものです。この聞き方の前提として、消費や推し活の背景にあるZ世代の価値観を押さえておくと、掘り下げる箇所の判断が速くなります。

オンラインと対面の使い分け|見るべき非言語サイン

どちらが優れているかではなく、テーマで使い分けます。

観点 対面 オンライン
同調圧力 強く出やすい やや弱まる
非言語情報 姿勢や視線まで観察できる 表情中心に限られる
向くテーマ 実物に触れる商品評価 美容やお金など個人的な話題
参加のしやすさ 移動が必要 地方の学生も集めやすい

対面で観察したい非言語サインは4つあります。スマホに手が伸びる瞬間、発言の前に交わされる参加者同士の目線、愛想笑いと本物の笑いの差、そして言い淀みです。発言録には残らないこれらのサインが、掘り下げるべき箇所を教えてくれます。
オンラインでは沈黙が対面より重く感じられるため、チャット欄への書き込みを併用すると、口頭では出てこない少数意見まで拾えます。

若者研究所では、現役の学生研究員が設計から進行まで加わるグループインタビューで、企業のマーケティングと商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代のグループインタビューは何人くらいが適切ですか?

4名前後の少人数がおすすめです。人数が多いと発言の順番待ちや様子見の時間が生まれ、発言量が偏ります。少人数に絞るとひとりあたりの発言機会が増え、他の参加者の陰に隠れることも難しくなるため、本音が出やすくなります。

グループインタビューでZ世代が本音を話してくれないのはなぜですか?

正解を探してしまう心理、最初の発言者に合わせる同調圧力、年上のモデレーターへの忖度が主な理由です。参加者の態度ではなく場の設計の問題なので、人数や属性の揃え方、アイスブレイク、質問の仕方を変えることで改善できます。

Z世代の調査はオンラインと対面のどちらが向いていますか?

テーマによって使い分けます。実物に触れてもらう商品評価は対面が向き、美容やお金のような個人的な話題は同調圧力が弱まるオンラインが向いています。オンラインではチャット欄への書き込みを併用すると、口頭では出ない少数意見も拾えます。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。