Z世代の男女差はどこに出る?調査の現場で見えた4つの分かれ目

同じ調査テーマでグループインタビューを2回やる。参加者を女子だけにした回と、男子だけにした回。すると同じ質問なのに、出てくる話がまるで違う。研究所で若者調査を重ねるなかで、何度も目にしてきた光景です。
Z世代は多様性の世代と言われますが、男女で見ている景色が同じになったわけではありません。どこが重なり、どこで分かれるのか。調査の現場から見えた実像を整理します。

Z世代の男女差を考える前提|性差は消えたのではなく、形を変えた

まず押さえたいのは、この世代で男女の境界が薄れた領域が確かに広がっていることです。メイクをする男子学生は研究所でも珍しくなくなり、メンズコスメの売り場は年々拡大しています。スカートやパールを取り入れるジェンダーレスファッションも、もはや奇抜な選択ではありません。
それでも、SNSの使い方やお金の向け先を細かく見ていくと、男女で分かれる線がいくつも残っています。Z世代の価値観という共通の土台の上に、性別で異なる行動の層が乗っている。この二階建てで捉えるのが実像に近いはずです。

男女で分かれやすい行動|調査の現場で見える4つの領域

領域 女子に目立つ行動 男子に目立つ行動
SNS Instagram中心。ストーリーズと保存で世界観を編集 XとYouTube中心。趣味の情報収集と匿名の共有
つながり方 少人数の親しい友達に向けた限定共有 ゲームのボイスチャットなど趣味起点の緩い集団
お金の向け先 コスメ、カフェ、推し活の遠征と身につける物 ゲーム、ガジェット、収集と課金
買い方 タグ検索と口コミの照合に時間をかける レビューとスペック比較で即決しやすい

たとえば同じ推し活でも、女子はうちわやグッズを持ち寄って現場の体験を共有し、男子は配信への課金やデータの収集に沈み込む。行き先は同じでも、歩き方が違うわけです。
写真の扱いにも差が出ます。女子は撮った1枚を加工アプリで仕上げてから共有するまでが撮影で、男子は撮ったまま送って終わり、ということが少なくありません。同じスマートフォンを持っていても、それを何の道具として使うかが分かれています。

裏アカの使い方にも差が出る|見せ方の調整か、本音の避難先か

複数アカウントの使い分けはこの世代の標準装備ですが、その目的にも性差がにじみます。研究員たちの話を聞いていると、女子の複数アカは、相手ごとに見せる自分を細かく調整するための編集室として機能することが多い。一方で男子の裏アカは、表では言えない愚痴や本音を逃がす避難先という色合いが濃くなります。
どちらも根っこにあるのは、狭い人間関係のなかで浮きたくないという同じ感覚です。出口の設計だけが違います。

恋愛と仕事への構え|温度差はどこから来るのか

恋愛を人生の必需品と考えない点は、男女に共通しています。分かれるのはその先で、Z世代の恋愛観を聞いていくと、女子は関係の質や安心感を条件として語り、男子は告白やデートに踏み出すこと自体の負担を語ることが多い。
仕事観でも、働きやすさを重んじる軸は同じまま、女子はライフイベントを見据えた長期の見通しを、男子はいまの裁量と趣味の時間を優先しやすいという温度差が残ります。制度の上で性差が縮んでも、将来予測の描き方には育てられ方の履歴が残る、ということかもしれません。

調査で男女を分ける意味|平均値は本音を消す

マーケティングの実務でこの男女差が効いてくるのは、調査設計の場面です。男女を混ぜた平均値だけを見ると、正反対の反応が打ち消しあって、誰にも刺さらない無難な結論が出てきます。冒頭のグループインタビューの話には続きがあり、女子だけの回では美容の失敗談が具体的な商品名つきで飛び交ったのに、男女混合の回では同じ参加者が一般論しか話しませんでした。

男女差の扱いで大切なのは、違いを決めつけに使わず、問いの立て方に使うことです。男だからこう買う、ではなく、男子だけの場ならどんな本音が出るか。研究所では性差を結論ではなく、調査設計の道具として使っています。

若者研究所では、現役の学生研究員へのグループインタビューや定点調査を、テーマに応じて男女別・属性別に設計し、平均値に埋もれる本音を企業のマーケティングと商品開発に届けています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代は男女で価値観が違うのですか?

多様性を前提とする土台は共通していますが、行動には差が残ります。SNSは女子がInstagram中心、男子がXとYouTube中心になりやすく、お金の向け先も女子はコスメや推し活の体験、男子はゲームやガジェットに寄りやすい違いが観察されます。

男女の境界が薄れている部分はありますか?

あります。メイクをする男子やメンズコスメ市場の拡大、ジェンダーレスファッションの浸透など、見た目や自己表現の領域では性別の境界が急速に薄れています。消えた領域と残る領域が混在しているのが実像です。

調査で男女を分けて聞く意味はありますか?

あります。男女混合の平均値では正反対の反応が打ち消しあい、無難な結論しか出ません。同性だけのグループインタビューにすると、混合の場では出なかった具体的な失敗談や本音が引き出せることが多くあります。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。