韓国のニュースやバラエティで頻繁に登場するMZ世代という言葉。日本ではミレニアル世代とZ世代を分けて語るのが普通ですが、韓国ではこの2つをまとめてひとつの世代として扱い、政府の政策文書から企業のマーケティングまで当たり前に使われています。
この韓国独自のくくり方を知ると、いま日本の若者に流れ込んでいる韓国トレンドの背景が、ぐっと立体的に見えてきます。
韓国のMZ世代とは|ミレニアルとZをまとめた韓国独自の世代区分
MZ世代は、1980年代前半から1990年代中頃に生まれたミレニアル世代と、1990年代中頃から2010年代前半に生まれたZ世代をあわせた呼び方です。おおよそ10代後半から40代前半までを含む、かなり幅の広い区分です。
韓国では2018年頃からメディアで急速に広まり、いまでは流行語というより標準語に近い存在になっています。
もっとも、40代と10代を同じ世代と呼ぶことへの違和感は韓国国内にもあります。それでもこの言葉が定着したのは、MとZが共通の社会体験でつながっているからです。
なぜMとZをひとつにくくるのか|就職難がつくった世代意識
韓国の若者を語るうえで避けて通れないのが就職難です。1997年の通貨危機以降、大企業と中小企業の待遇差が大きく開き、限られた採用枠をめぐって受験さながらの競争が続いてきました。
学歴、語学スコア、資格、インターン経験。いわゆるスペックを積み上げても、望む職に就けるとは限りません。
この「努力が報われにくい社会に出た」という体験を、ミレニアルもZも共有しています。恋愛や結婚、出産などを諦めるN放世代という言葉が生まれたのも、この流れの中でのことです。高度成長と民主化を経験した上の世代との断絶が、MとZをひとつの塊として見せているのです。
公正世代と呼ばれる理由|プロセスの公平さに敏感
韓国のMZ世代を象徴するキーワードが公正です。採用や入試での不正、コネや世襲に対する怒りは強烈で、大手企業では若手社員が成果給の算定根拠を公開するよう会社に求める動きも大きな話題になりました。
結果の平等ではなく、競争のプロセスが公平かどうか。ここに徹底的にこだわるのがこの世代です。
日本のZ世代のコスパ・タイパ志向が時間とお金の交換効率への敏感さだとすれば、韓国MZ世代の公正志向は努力と報酬の交換レートへの敏感さです。どちらも損をしたくないという感覚の表れですが、矛先の向かう先が違う。研究所ではそんな整理をしています。
日本のZ世代との共通点|デジタルとファンダムは国境を越える
違いばかりが注目されがちですが、共通点も多くあります。
- スマホとSNSを前提に育ったデジタルネイティブである
- モノそのものより意味や体験を重視する価値消費の傾向が強い
- 推し活やファンダム文化に深くコミットする
- 会社や組織より個人の人生を優先する
とくに推しへの熱中の仕方や、SNSでの自己表現の感覚は驚くほど近く、これが後述するトレンド伝播の土台になっています。
日本のZ世代との違い|競争社会が生んだ振れ幅の大きい消費
| 項目 | 韓国のMZ世代 | 日本のZ世代 |
|---|---|---|
| 世代の範囲 | ミレニアルとZをあわせた広いくくり | Z世代単独で語られることが多い |
| 社会背景 | 厳しい受験競争と就職難 | 売り手市場の新卒採用 |
| 消費の見せ方 | フレックスと呼ばれる誇示型消費と極端な節約の二極 | 失敗を避ける慎重なメリハリ消費 |
| 核となる価値観 | 公正さへのこだわり | 共感と同調のバランス感覚 |
韓国で面白いのは、高級オマカセでの食事会のような見せる消費と、支出ゼロの日をつくる無支出チャレンジのような極端な節約が、同じ人の中に同居していることです。
使うところには惜しみなく使い、削るところは徹底的に削る。Z世代の特徴として日本でも語られるメリハリ消費の、いわば増幅版です。競争社会のストレスが、消費の振れ幅を大きくしていると見ることができます。
韓国トレンドが日本の若者に流れる構造
韓国式のセルフフォトブース、クロッフルやタンフルのようなスイーツ、Y2Kファッション。ここ数年、日本の若者トレンドの多くが韓国を経由して入ってきています。
この流れには構造があります。まずK-POPとドラマが韓国への関心の入口をつくる。次にInstagramやTikTokのビジュアル中心のフィードが言語の壁を消す。そして韓国国内のカフェや飲食店の激しい競争が、SNS映えに最適化された商品や空間を次々に生み、それが時差をおいて日本に着地するのです。
だから韓国のいまを見ることは、日本の少し先を見ることでもあります。実際、2026年の若者トレンドにも韓国発のものが少なくありません。
釜慶国立大学との交流から見えた現地のリアル
若者研究所は釜山の釜慶国立大学と交流実績があり、現地の大学生と直接語り合う機会を重ねてきました。
肌で感じるのは、就職準備の話題になったときの熱量です。資格やインターンの積み上げ方を語る言葉の緻密さには、競争社会を生きる切実さがにじみます。一方で、好きなものの話になった瞬間の表情や、SNSでの見せ方のセンスは、日本の学生とほとんど変わりません。
日韓の若者は、違う環境で同じ感覚を育てている。統計だけを眺めていては届かないこの実感こそ、現地の学生と直接話す価値だと考えています。
若者研究所では、現役の学生研究員による調査に加え、韓国の大学との交流で得た日韓の若者への一次的な理解をもとに、企業のマーケティングや商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
韓国のMZ世代とは何歳くらいの人を指しますか?
1980年代前半から2010年代前半に生まれた世代を指し、おおよそ10代後半から40代前半までを含みます。ミレニアル世代とZ世代をまとめた韓国独自の呼び方で、韓国ではメディアや政府の文書でも広く使われています。
なぜ韓国ではミレニアル世代とZ世代をまとめて呼ぶのですか?
1997年の通貨危機以降の厳しい就職難と競争社会を、両世代が共通体験としているためです。努力が報われにくい社会に出たという感覚を共有しており、上の世代との断絶が大きいことから、ひとつの世代としてくくられるようになりました。
韓国のMZ世代と日本のZ世代の大きな違いは何ですか?
消費の振れ幅と公正さへのこだわりです。韓国では誇示型の消費と極端な節約が同じ人の中に同居し、採用や評価のプロセスが公平かどうかに強く反応します。日本のZ世代は失敗を避ける慎重な消費と、共感や同調を重視する傾向があります。


