Z世代向けアンケートの作り方|スマホ前提の設問設計で本音を引き出すコツ

Z世代向けのアンケートは、配れば集まります。SNSやLINEで回答フォームを送れば、数百件の回答が数日で戻ってくることも珍しくありません。
問題はその中身です。どの設問も同じ位置の選択肢が並ぶ回答、中央の「どちらでもない」だらけの回答、空欄のままの自由記述。研究所でアンケートの相談を受けるとき、悩みのほとんどは回収数ではなく回答の質に集中しています。若者特有の回答行動の癖を知らないまま設問を作ってしまうことが原因です。

スマホの親指で完結するか|Z世代アンケートの大前提

作り手はPCで設問を組み、PCの画面でプレビューして配信します。ところが答える側のZ世代は、ほぼ例外なくスマホで開きます。
ここで最初の事故が起きます。PCでは一覧できたマトリクス設問、つまり行に項目、列に評価が並ぶ表形式が、スマホでは横スクロールしないと選択肢が見えない画面になるのです。親指の操作だけで答えられない設問に出会った瞬間、若者はそっとブラウザを閉じます。

  • 1画面に1問。スクロールせずに設問文と選択肢が収まる分量にする
  • マトリクス設問は分解して、1項目ずつ聞く
  • 回答はタップだけで完結させ、文字入力は最小限にする

設問数と回答の質|長いアンケートは後半が崩れる

設問数を増やしたときに起きるのは、離脱だけではありません。むしろ怖いのは、最後まで答えてくれた人の後半の回答です。
集中力が切れた回答者は、設問文を読まずに同じ位置の選択肢をタップし続けます。縦に一直線に並んだ回答は集計上は有効票なので、気づかないまま分析に混ざります。
対策はシンプルです。設問を組み終えたら、この設問の結果を使って何を判断するのかを1問ずつ自問してみてください。判断につながらない設問は、あるとうれしいだけの設問です。削りましょう。冒頭に所要時間の目安を正直に書くことも、途中離脱を減らします。

研究員たちと話していると、アンケートは信頼の前借りだと感じます。長くて雑なアンケートに一度付き合わされたブランドには、次はもう協力しない。若者は答えながら、聞き手の側も評価しています。

「どちらでもない」に逃げ込ませない選択肢設計

5段階評価の真ん中は、若者にとって便利な避難所です。よく知らない、興味がない、答えて角を立てたくない。その全部が中央の選択肢に吸い込まれ、集計すると山がひとつ真ん中にできるだけの結果になります。
若者の回答行動の癖と対策を整理すると、次のようになります。

回答行動の癖 起きること 設計での対策
中央への逃げ どちらでもないに回答が集中する 気持ちではなく行動の事実を聞く。偶数尺度も選択肢
建前回答 意識を聞くと模範解答が返る 直近に買ったもの、使ったものを具体的に聞く
適当回答 後半で同じ選択肢が縦に並ぶ 設問数を絞り、矛盾チェック用の設問を入れる
離脱 マトリクスや長文設問で途切れる 1画面1問。スマホでプレビューしてから配信する

建前回答を減らす聞き方の工夫

環境に配慮した商品を選びたいと思いますか、と聞かれれば、多くの若者ははいと答えます。嘘ではなく、そうありたい気持ちは本物だからです。ただ、その回答は売上を予測してくれません。
意識ではなく事実を聞くと、建前の入り込む余地が減ります。この1か月で実際に買ったもの、直近でスクショしたもの、友だちに勧めたもの。過去の行動は盛りようがありません。
あなた自身ではなく、周りの友だちはどうしているかを聞く方法も本音を引き出す定番の工夫です。自分のこととして答えにくい話題ほど効果を発揮します。

自由記述を書いてもらう仕掛け

自由記述の空欄は、書きたくないのではなく、何を書けばいいかわからないというサインです。あなたの意見を自由にお書きください、という広い問いは、フリック入力の負担と釣り合いません。

  • 場面をひとつに絞る。最近買ってよかったものを、それを知ったきっかけと一緒に教えてください、のように答えの型を示す
  • 直前の選択式の回答を受けて、その理由だけを聞く
  • ひとことで大丈夫ですと明記し、長文を求めていないと伝える

SNSに短い感想を投稿する感覚で書ける設問なら、若者の自由記述はむしろ雄弁です。

数字の先を知る|定性調査との組み合わせ

どれだけ設問を磨いても、アンケートでわかるのは分布と傾向までです。なぜその選択肢を選んだのか、その言葉で若者が何をイメージしているのかは、数字の中にありません。
だから研究所では、アンケートをグループインタビューとセットで設計することを勧めています。アンケートで全体の傾向をつかみ、気になる回答をした層を呼んで深掘りする。自由記述で光る言葉を書いてくれた回答者は、インタビュー対象者の候補としても貴重です。
アンケート単体で完結させず、若者リサーチ全体のどこに位置づけるかから考えると、同じ設問数でも得られるものが大きく変わります。

若者研究所では、現役の学生研究員が回答者の目線で設問をチェックし、アンケート設計からインタビューによる深掘りまでを一貫して支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代向けアンケートの設問数はどのくらいが適切ですか?

回答はほぼスマホで行われるため、集中力が続く範囲に絞るのが基本です。設問ごとに結果を何の判断に使うかを確認し、判断につながらない設問は削ります。冒頭に所要時間の目安を正直に示すと、途中離脱を減らせます。

若者の回答がどちらでもないに集中するのはなぜですか?

よく知らない話題や、答えて角を立てたくない気持ちの受け皿になりやすいためです。気持ちの強さを聞くのではなく、直近に買ったものや使ったものなど行動の事実を聞く形に変えると、中央の選択肢に逃げにくくなります。

アンケートとインタビューはどちらを先に実施すべきですか?

アンケートで全体の傾向をつかみ、気になる回答をした層をインタビューで深掘りする流れが取り組みやすい方法です。自由記述に具体的な言葉を書いてくれた回答者は、インタビュー対象者の有力な候補になります。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。