サイドスリットデニムはなぜ流行?ヘルシーな肌見せに映る若者の価値観

デニムの太ももに走る一筋のスリットが、2026年上半期の若者ファッションを象徴するディテールになりました。トレンドお届けメディアTrepoが発表した2026年上半期Z世代トレンドランキングで、ファッション部門の1位に選ばれたのがサイドスリットデニムです。
研究所の学生研究員のあいだでも、春ごろから着ている人が目に見えて増えました。なぜいま、デニムに切り込みなのか。流行の表面ではなく、その下にある価値観の変化を読み解きます。

サイドスリットデニムとは|2026年上半期トレンド1位のディテール

サイドスリットデニムは、脚の外側、主に太もも部分に切り込みを入れたデニムです。歩くたびに肌がわずかにのぞき、縦のラインが強調されるので脚が長く見えます。ぴったりしたスキニーではなく、ワイドやフレアといったゆとりのあるシルエットにスリットを入れるのがいまの主流です。

Trepoの同ランキングでは2位にクロムネイル、3位にボディスーツが続きました。肌やボディラインに関わるアイテムが上位を占めたことは、2026年上半期の若者トレンドの全体を貫く気分を示しています。

火付け役はDarich|XSサイズがSNSの話題をさらった

流行を加速させたのが、斎藤早紀さんがプロデュースするアパレルブランドDarichのサイドスリットデニムです。細身に設計されたXSサイズがSNSで話題になり、着用画像の投稿が連鎖しました。
試着の様子を動画にする、入ったサイズを報告する、という行動そのものがコンテンツになった点は見逃せません。服は着るものであると同時に投稿の題材でもある。Z世代のトレンドらしい広がり方でした。

セクシーからヘルシーへ|肌見せの目的が変わった

注目したいのは、このデニムが語られるときに必ずついてまわる、ヘルシーな肌見せという言葉です。
かつての肌見せは、異性の視線を前提にしたセクシーさの表現でした。いまの若者にとっての肌見せは、コーディネートに抜けをつくり、自分のスタイルをよく見せるための技術に近いものです。全身は隠しながら一部分だけのぞかせる。その引き算のバランスが支持されています。

研究員と話していると、見せたいのは肌ではなくバランス感覚だという言い方をよく聞きます。誰のために見せるのかという主語が、他人から自分へ移っているのです。

平成ギャルの露出と何が違うのか

肌見せの流行と聞くと、ミニスカートやローライズが席巻した平成のギャル文化を思い出す人も多いはずです。ただ、同じ肌見せでも中身はかなり違います。平成ギャルメイクがそのまま復刻されず再解釈されて戻ってきたのと同じで、露出の作法も令和の価値観で編集し直されています。

視点 平成の肌見せ 令和のヘルシーな肌見せ
代表アイテム ミニスカート、ローライズデニム サイドスリットデニム、ボディスーツ
見せ方 面で大胆に見せる 線で部分的にのぞかせる
意識する相手 異性やまわりの視線 自分の気分と全身のバランス
シルエット タイトで短い ワイドに小さな抜けを足す

XSデニムが入ったら勝ち|トレンドの影にある細さ競争

一方で、この流行には影の側面もあります。SNSではXSデニムが入ったら勝ちという言葉が広がり、女子SPA!が病的な細さマウントと表現して報じるなど、細さを競う空気への懸念も指摘されました。
ヘルシーという言葉をまといながら、実際には特定の体型でないと成立しにくいアイテムが頂点に立つ。この矛盾は、ボディポジティブが浸透したと言われるZ世代の内側にも、細さへの強い圧力が残っていることを示しています。

トレンドは価値観のきれいな部分だけを映すわけではありません。ヘルシー志向と細さ競争が同居している状態こそ、いまの若者のリアルだと研究所は見ています。

肌見せの変化から企業が読み取れること

サイドスリットデニムの流行が企業に教えてくれるのは、露出やセクシーさを前面に出す訴求がZ世代に響きにくくなっているという事実です。肌見せの主語が自分に移った以上、広告や商品開発で使うべき言葉はヘルシー、抜け感、スタイルアップの側にあります。
同時に、細さ競争のような影の部分に無自覚なままサイズ展開やビジュアルを設計すると、思わぬ反発を招きます。若者トレンドの定点観測は、単発の流行を追いかけるためではなく、こうした価値観の地殻変動を早くつかむためにあります。

若者研究所では、現役の学生研究員によるグループインタビューや定点調査で、トレンドの裏側にある価値観の変化を企業のマーケティングと商品開発につなげています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

サイドスリットデニムとはどんなデニムですか?

脚の外側、主に太もも部分に切り込みが入ったデニムです。歩くと肌がわずかにのぞき、縦のラインが強調されるためスタイルアップして見えるのが特徴です。ワイドやフレアなどゆとりのあるシルエットに入れたデザインが主流です。

サイドスリットデニムはなぜ流行しているのですか?

トレンドメディアTrepoの2026年上半期Z世代トレンドランキングでファッション部門1位に選ばれるなど、SNSを中心に注目が集まりました。アパレルブランドDarichのアイテムが話題になったことに加え、露出を抑えながら抜け感を出せるヘルシーな肌見せという価値観に合っていたことが背景にあります。

ヘルシーな肌見せとはどういう意味ですか?

異性の視線を意識したセクシーさではなく、自分の気分やスタイルアップのために部分的に肌をのぞかせる見せ方を指します。全身を覆うゆったりした服に小さな抜けをつくるバランスが好まれ、Z世代の肌見せの主流になりつつあります。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。