休み時間の教室では、大人にはまるで意味の分からない言葉が飛び交っています。トゥントゥントゥンサフール、ナルトダンス、スンスン。どれも実在する流行なのですが、親世代には呪文のようにしか聞こえません。
いまの小学生はα世代のど真ん中。その世界をのぞいてみると、流行そのものより、流行の生まれ方が大人の子ども時代とは別物になっていることに驚かされます。
ジャンル別早見表|2026年の小学生トレンド
まず全体像です。研究所で保護者や若者と話すなかで頻出するもの、公開されている調査で上位に入るものを整理しました。
| ジャンル | 流行っているもの | 主な入口 |
|---|---|---|
| ゲーム | マインクラフト、スプラトゥーン、フォートナイト、ロブロックス | ゲーム実況、友だちとのマルチプレイ |
| キャラクター | ちいかわ、すみっコぐらし、パペットスンスン | SNS、文具や雑貨 |
| ミーム・言葉 | イタリアンブレインロット、ナルトダンス | ショート動画、教室での再現 |
| 動画 | HikakinGames、まいぜんシスターズなどのゲーム実況 | YouTube |
| モノ | ポケモンカードなどのトレカ | 友だちやきょうだいとの交換 |
ゲーム|遊び場になったマインクラフト
発売から10年以上たつマインクラフトが、小学生向けの各種調査でいまだに人気1位の常連です。攻略する対象というより、友だちと集まって何かを作る遊び場として使われているのが特徴で、放課後に同じワールドへ集合する光景は、かつての公園集合とほぼ同じ役割を果たしています。
高学年になるとフォートナイトやロブロックスの比率が上がります。ロブロックスは他人が作ったゲームを渡り歩ける仕組みなので、内部で流行が次々に生まれては消える、それ自体が小さなSNSのような空間です。2025年に発売されたNintendo Switch 2も話題の中心にあり、新作ソフトの発売日は教室の一大イベントになっています。
キャラクター|ちいかわの次に来たAI生まれのキャラたち
女子を中心に強いのがちいかわとすみっコぐらしです。筆箱やキーホルダーなどモノとして学校に持ち込めることが、教室内での流行を支えています。パペット人形のスンスンのように、YouTube発のキャラクターが文具売り場に並ぶ流れも定着しました。
2025年に急浮上したのがイタリアンブレインロットと呼ばれる一群です。スニーカーを履いたサメに代表される、AIで生成された不条理なキャラクターたちが、呪文のような名前とともにショート動画で世界中に拡散しました。小学館のJS研究所とコロコロコミック研究所による2025年の共同調査では、下半期の流行語として女子はイタリアンブレインロット、男子はナルトダンスが1位に入っています。
研究所で話題になったのは、子どもたちがAI製かどうかをまったく気にしていないことです。面白ければ広める、飽きたら手放す。作り手が人間である必要が薄れた最初の世代が、いまの小学生なのかもしれません。
言葉とダンス|流行語はショート動画から教室へ
男子の流行語1位になったナルトダンスは、アニメNARUTO由来の動きをネタにしたダンスがショート動画で拡散し、休み時間に再現されるという流れで広がりました。
ここに小学生トレンドの重要な条件が隠れています。体ひとつで、教室で、すぐ真似できること。道具がいらず、上手い下手がそのまま笑いに変わるものほど強いのです。意味の面白さより音の面白さが優先されるのも特徴で、トゥントゥントゥンサフールのような響きは、それ自体が遊び道具になります。
動画|ゲーム実況という共通言語
小学生の視聴の中心はゲーム実況です。HikakinGamesは小学生向けの調査で毎年1位の常連で、マインクラフト実況のまいぜんシスターズも根強い人気があります。
実況が強いのは、見て終わりにならないからです。実況で技を知り、自分のプレイで試し、翌日の学校で披露する。見る、やる、話すという循環の起点になっているため、動画の流行とゲームの流行が一体化しています。
なぜ流行るのか|小学生トレンド三つの伝播ルート
ここまでの流行に共通する広がり方を分解すると、三つのルートが見えてきます。
- YouTubeとゲーム内文化。実況者やゲーム内の話題が起点になり、全国で同時多発的に流行が立ち上がる
- きょうだい経由。中高生の兄や姉が見ているものが時差なく降りてくるため、Z世代のトレンドと地続きになる
- 学校での口コミ。最終的に流行を確定させるのは教室で、モノとして持ち込めるか、体で再現できるかが選別基準になる
逆にいえば、この三つのどこにも乗らないものは、どれだけ広告を打っても小学生には届きにくいのです。テレビ発の流行が減り、大人が流行を後から知るようになった理由もここにあります。
親が知らないうちに流行が始まり、終わっている。この速度感こそ、これからの若者マーケティングが向き合う前提条件だと研究所では捉えています。
大人が知らない世界にこそ次の兆しがある
小学生の流行は、数年後の中高生市場、さらにその先の消費トレンドの先行指標です。イタリアンブレインロットに笑い転げている子どもたちは、AIと一緒に育つ初めての消費者でもあります。2026年の若者トレンドの多くも、さかのぼれば小中学生のミームや遊びに源流があります。意味が分からないと切り捨てず、なぜ面白いのかを一緒に面白がることが、α世代を理解する最短ルートです。
若者研究所では、現役の学生研究員による定点調査やグループインタビューで、α世代・Z世代のリアルなトレンドを企業のマーケティングと商品開発につないでいます。若者リサーチの依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
2026年の小学生に一番人気のゲームは何ですか?
マインクラフトが小学生向けの各種調査で人気1位の常連です。友だちと同じワールドに集まって建築や冒険を楽しむ遊び場として使われており、高学年ではフォートナイトやロブロックスの人気も高まっています。
イタリアンブレインロットとは何ですか?
AIで生成された不条理なキャラクター群のミームです。スニーカーを履いたサメなど意味不明な見た目と呪文のような名前が特徴で、ショート動画を通じて世界中に広がり、日本の小学生の流行語調査でも1位に入りました。
小学生の流行はどこから生まれますか?
YouTubeのゲーム実況やショート動画が起点になり、中高生のきょうだいを経由して伝わり、最終的に教室の口コミで定着する流れが主流です。テレビよりも動画とゲーム内の文化が流行の発信源になっています。


