ミレニアル世代の子育てはなぜ友達親子?α世代消費を動かす親の心理

α世代の消費を読み解こうとするとき、子どもだけを見ていても答えにたどり着けません。財布を握っているのはミレニアル世代の親だからです。
1980年代前半から1990年代半ばに生まれたこの世代は、自らもデジタルとともに育った初めての親世代。その子育て観が、α世代の消費のかたちをつくっています。

ミレニアル世代の親とは|デジタルで育った初めての親世代

ミレニアル世代は、学生時代にインターネットや携帯電話が普及し、社会人になる頃にはスマートフォンとSNSが当たり前になった世代です。就職氷河期の余波やリーマンショックも経験し、モノを持つことより経験に価値を置く感覚を早くから身につけてきました。
この世代が親になったとき、子育てのスタイルもそれまでとは違うものになりました。検索とSNSで情報を集め、共働きを前提に家事育児を分担し、子どもを一人の人格として尊重する。α世代の行動を理解する土台は、まずこの親の価値観にあります。

友達親子という距離感|上からではなく横に並ぶ

研究所で学生研究員と話していると、親を尊敬しつつも友達のように接している人が目立ちます。親の言うことに従うというより、相談相手として頼る。この距離感は、ミレニアル親とα世代の間でさらに強まっています。

  • 親子で同じゲームやYouTubeチャンネルを楽しむ
  • 週末の予定や外食先を子どもと一緒に決める
  • 買い物では子どもの意見を聞いてから判断する

上下関係で命じるのではなく、横に並んで対話する。友達親子と呼ばれるこの関係は、家庭内の意思決定を合議制に変えました。子どもが選択に参加するのが当たり前の家庭で、α世代は消費者としての感覚を磨いています。

SNSで情報を集め、モノより体験を選ぶ子育て

ミレニアル親の子育て情報源は、育児書や親世代からの伝聞よりも、InstagramやXで見つかる同じ立場の親のリアルな声です。離乳食の進め方も、習い事の選び方も、まずSNSで検索する。フォローしている親アカウントの投稿が、育児用品の購買を左右します。
また、この世代はモノを買い与えるより体験を贈ることを重視します。誕生日プレゼントにおもちゃではなく旅行やワークショップを選ぶ。知育につながるイベントには惜しまず投資する。α世代が体験重視の感覚を持つのは、親がそういう消費を見せてきたからでもあります。

子のおねだりと親の共感購買|親子で決まるα世代消費

α世代向けの商品がヒットするとき、そこには二段階の関門があります。まず子どもが欲しいと思うこと。次に親が納得して財布を開くこと。この構造を整理すると次のようになります。

段階 子ども側の動き 親側の判断基準
認知 YouTubeや友達の間で話題になる SNSで他の親の評判を確認する
要求 おねだりする、理由を説明する 教育的な価値や安全性を吟味する
購買 一緒に選ぶ、使い方を親に教える 共感できれば価格より価値で決める

ポイントは、親が単なる財布役ではないことです。ミレニアル親は子どもの好きなものを理解しようとし、自分も共感できたときに気持ちよくお金を払います。子どもへの共感が購買の決め手になる、いわば共感購買です。α世代マーケティングで親向けの文脈設計が欠かせないのはこのためです。

研究所では、α世代の消費は親子ペアで一つの意思決定ユニットとして見るべきだと考えています。子どもだけ、親だけを調査しても、購買の瞬間に何が起きているかは見えてきません。

シェアレンティングへの意識|わが子をどこまで見せるか

子どもの写真や動画をSNSに投稿するシェアレンティングは、ミレニアル親を象徴する行動の一つです。成長記録を共有して祖父母や友人とつながる楽しさの一方で、顔を出さない、名前を伏せる、公開範囲を限定するといった慎重な運用も広がっています。
自分自身がSNSとともに育ち、ネットに残る情報の怖さを知っているからこその両面性です。子どもの写った投稿を将来本人がどう思うか、という視点を持つ親は着実に増えています。家族の写真投稿を促すキャンペーンを設計するなら、この繊細な意識を踏まえる必要があります。

家族マーケティングへの示唆|親子を一つのユニットとして捉える

ミレニアル親とα世代の関係から導ける示唆を整理します。

  • 子ども向け商品でも、親が語れるストーリーと納得材料を用意する
  • 親のSNS上の情報収集経路に、信頼できる評判が流れる状態をつくる
  • モノ単体ではなく、親子で楽しめる体験として価値を設計する
  • 子どもの声と親の声を別々にではなく、対にして聞く調査を行う

α世代の特徴を押さえるだけでは、家庭内の意思決定は再現できません。親子がどんな会話を経て買うに至るのか。そのプロセスこそが、これからの家族マーケティングの主戦場になります。

若者研究所では、現役の学生研究員によるインタビューや定点調査に加えて、親子ペアでの調査設計にも対応しています。α世代と家族の消費を捉えたい方は、若者リサーチの依頼お問い合わせからお気軽にご相談ください。

よくある質問

ミレニアル世代とはいつ生まれた世代ですか?

おおむね1980年代前半から1990年代半ばに生まれた世代を指します。学生時代にインターネットが普及し、社会人になる頃にスマートフォンとSNSが広がった、デジタルとともに育った最初の世代です。現在はα世代の子どもを育てる親の中心層になっています。

友達親子とはどのような親子関係ですか?

上下関係で子どもを従わせるのではなく、友達のように対話しながら物事を決める親子関係です。週末の予定や買い物を一緒に決めるなど、家庭内の意思決定に子どもが参加するのが特徴で、ミレニアル世代の親とα世代の子どもの間で広がっています。

シェアレンティングとは何ですか?

親が子どもの写真や動画をSNSに投稿して共有する行動を指す言葉です。成長記録を残して家族や友人とつながれる一方、子どものプライバシーへの配慮から、顔を隠したり公開範囲を限定したりと慎重に運用する親も増えています。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。