Z世代のSNS利用実態|TikTok・Instagram・BeRealをどう使い分けているのか

朝起きてまずLINEとInstagramのストーリーズを確認し、移動中はTikTokを眺め、夜はYouTubeで好きな配信者の動画をじっくり見る。研究員たちに1日の過ごし方を聞くと、SNSがもはや道具ではなく、生活に溶け込んだ空気のような存在になっていることがわかります。
ただし彼らは、すべてのSNSを同じようには使っていません。プラットフォームごとにはっきりと役割を与え、相手と目的によって器用に使い分けています。この使い分けの構造こそ、Z世代のSNS利用実態を理解する鍵です。

Z世代のSNS利用実態|プラットフォームごとの役割分担

総務省の情報通信メディアに関する調査でも、10代と20代のソーシャルメディア利用時間は全世代の中で突出して長いことが示されています。ただ、時間の長さ以上に注目すべきは使い方の構造です。
若者研究所で研究員たちの話を聞いていると、各プラットフォームの役割分担はおおむね次のように整理できます。

プラットフォーム 主な役割 使われ方の特徴
TikTok 発見と暇つぶし 知らなかったものと出会う場。レコメンドに身を任せて眺める
Instagram 近況共有と検索 ストーリーズとDMが中心。お店や商品を探す検索エンジンでもある
BeReal 盛らない近況報告 加工なしの日常を親しい友人とだけ見せ合う
X 趣味と匿名のつながり 趣味垢での推し活が中心。リアルの知り合いとはあまりつながらない
LINE 連絡インフラ 学校・バイト・家族との連絡手段。閉じた通路として使う
YouTube じっくり視聴 長尺で深掘りする時間。ショート動画はTikTokと併用

ひとつのSNSの中で完結させるのではなく、目的ごとにアプリを移動する。この前提を押さえると、それぞれのSNSで起きていることがぐっと理解しやすくなります。

TikTok|検索でも交流でもない発見の場

TikTokの本質は、友だちとの交流ではなくレコメンドです。フォローしていないアカウントの動画が次々に流れてくるおすすめフィードを、目的もなく眺める。この受け身の時間の中で、新しい音楽や料理、コスメ、言葉と偶然出会います。
研究員たちの話で印象的なのは、TikTokを人とつながる場だと思っていないことです。投稿するのはごく一部で、大半は見るだけの視聴者にとどまります。暇つぶしの場でありながら、流行の入口として機能している。企業のキャンペーンや商品がバズるのも、多くはこの発見の文脈の中です。

Instagram|フィードよりストーリーズ、投稿よりDM

Instagramというと、作り込まれた写真が並ぶフィードを思い浮かべる大人は多いはずです。しかしZ世代の中心は、24時間で消えるストーリーズと、1対1やグループでやり取りするDMに移っています。
フィードへの投稿は数か月に1度の記念日的な行為になり、日常の共有はストーリーズで軽く流す。友だちのストーリーズへの反応から、DMでの会話が始まる。Instagramは作品を発表する場から、親しい人と近況を交わすコミュニケーションの場へと重心を移しました。
同時に、後述するように検索エンジンとしての役割も大きくなっています。カフェ、旅行先、コスメ。ビジュアルで選びたいものを探すとき、Instagramのタグ検索は定番の入口です。

以前、研究員に頼んでスマホのホーム画面を見せてもらったことがあります。

ある大学生の研究員はSNSのアカウントを5つ使い分けていました。本垢、裏垢、趣味垢、就活用、家族用。驚いたのは「本垢が一番よそいき」という言葉です。実名に近い場所ほど、本音から遠くなる。

企業が公式アカウントから見ている「若者のSNS」は、彼らのいちばん外側の顔にすぎません。この構造を知らずに若者理解はできないと痛感した瞬間でした。

BeReal|盛らないことが心地いい関係

1日1回ランダムな時間に通知が届き、2分以内に前面と背面のカメラで今この瞬間を撮って送り合う。フランス発のBeRealは、加工も演出もしにくい設計そのものが特徴です。日本では2023年ごろから大学生を中心に広がりました。
映える写真で競うInstagramへの疲れの受け皿として、盛れないことがむしろ価値になった。寝起きの顔も、散らかった部屋も、バイト中の裏側も、親しい友人となら見せ合える。むしろ見せ合えることが親しさの証明になっています。

研究員と話していると、BeRealは写真アプリというより関係のフィルターだと感じます。盛らない姿を見せられる相手だけを選び抜いた、いわば選抜済みの内輪。この内輪の可視化こそがBeRealの正体です。

XとLINE|趣味の世界と連絡のインフラ

Xの主戦場は趣味垢です。アイドル、アニメ、ゲーム、スポーツ。ジャンルごとにアカウントを分け、匿名で同じ趣味の人とつながる。リアルタイム性が高く、推しの出演情報やグッズの発売を追いかける推し活のインフラとして手放せません。実名的なつながりが中心のInstagramとは、人間関係の質がまったく違います。
一方のLINEは、もはやSNSというより電話番号に近い連絡インフラです。学校の連絡網、バイトのシフト、家族とのやり取り。開かれた発信の場ではなく、閉じた通路として全員が使います。既読をめぐる独特の作法があり、ウチとソトを分ける感覚が最もはっきり表れる場所でもあります。

YouTube|長尺でじっくり深掘りする時間

ショート動画全盛でも、YouTubeの長尺動画は別の役割で生きています。好きな配信者のゲーム実況を流しながら過ごす、メイクや勉強のやり方を学ぶ、気になったテーマの解説を見る。TikTokが偶然の出会いの場だとすれば、YouTubeは能動的に選んで深掘りする場です。
テレビの代わりに食事中や作業中に流しっぱなしにする使い方も定着しています。YouTubeショートはTikTokと似た暇つぶしとして併用され、同じ動画でも長さによって役割が分かれています。

本垢・裏垢・趣味垢|複数アカウントは当たり前

Z世代のアカウント運用を理解するうえで欠かせないのが、複数アカウントの使い分けです。クラスメイト全般とつながる本垢、仲のいい数人だけに公開する裏垢、趣味の世界専用の趣味垢。InstagramやXでは、1人が3つ以上のアカウントを持つことは珍しくありません。
裏アカウントと聞くと悪口の温床のような印象を持つかもしれませんが、実態は見せる相手の調整です。本垢では当たり障りのない自分を、裏垢では愚痴や弱音を含む素の自分を、趣味垢では学校の人格と切り離したオタクの自分を出す。Z世代の世間体意識の強さが、アカウントを分けるという形で表れているとも言えます。

ググらない検索行動|検索はSNSの中で完結する

何かを調べるときにまずGoogleを開く、という行動はZ世代では自明ではなくなっています。お店やコスメはInstagramのタグ検索、流行やハウツーはTikTok検索、リアルタイムの評判や口コミはX検索。目的によって、検索するアプリごと切り替えます。
Googleの幹部も2022年に、米国の若年層の約4割が食事の場所を探すときにGoogleではなくTikTokやInstagramを開くと語り、話題になりました。
背景にあるのは、文字より写真と動画で判断したいという感覚と、広告や公式の作り込まれた情報より一般の人の投稿を信じるという感覚です。検索結果の正解ではなく、リアルな体験談を求めている。Z世代マーケティングを考えるうえで、この検索行動の変化は避けて通れません。

SNS疲れと距離の取り方

これだけSNSに浸かっているからこそ、疲れとの付き合い方も上手です。ストーリーズを見る相手を絞る、通知を切る、投稿を親しい友達限定にする、アプリごと消してしばらく離れる。研究員の間でも、SNSとの距離の取り方は頻繁に話題になります。
特徴的なのは、やめるのではなく調整するという発想です。SNSは人間関係そのものと結びついているため、完全にやめる選択は現実的ではない。だからこそ公開範囲、アカウント、通知を細かくチューニングして、自分が消耗しない形に整えていきます。BeRealの流行も、映え競争から降りたいという疲れの裏返しでした。

大人が誤解しがちな3つのポイント

Z世代のSNS利用について、企業やメディアの方と話すときによく出会う誤解があります。

  • 誤解その1。若者はSNSで積極的に発信している。実際は大半が見る専で、発信はストーリーズやDMなど閉じた場に限られます
  • 誤解その2。流行のアプリに飛びつき、飽きたら捨てる。実際は役割ごとに複数のSNSを併用し、古いアプリも役割を変えて使い続けます
  • 誤解その3。SNS漬けで受け身になっている。実際は公開範囲やアカウントを細かく設計し、きわめて戦略的に運用しています

研究所でよく話題になるのは、大人がSNSを発信の場と捉えるのに対し、Z世代は居場所の管理術として使っているというずれです。どのSNSで誰に何を見せるかという設計は、彼らなりの人間関係のリスク管理でもあります。

表に出てくる投稿だけを見てZ世代の特徴を判断すると、この水面下の設計を見落とします。

企業アカウントはどう見られているか

では、この使い分けの世界で企業アカウントはどう映っているのでしょうか。研究員たちの反応を聞くかぎり、宣伝色の強い投稿はそもそも視界に入っていません。一方で、中の人の個性が見えるアカウントや、TikTokのおすすめに自然に流れてくる面白いコンテンツは、企業発でも受け入れられます。
鍵になるのは、広告として構えて見せられるか、コンテンツとして偶然出会うかの違いです。フォローされることをゴールにするより、発見の場であるTikTokで出会ってもらい、検索の場であるInstagramで確かめてもらえる状態を作る。プラットフォームの役割分担に沿った設計が欠かせません。
毎年入れ替わる流行のアプリや言葉は若者トレンドとして追いかけつつ、変わらない構造としての使い分けを押さえておく。それがZ世代とSNSで向き合う近道です。

若者研究所では、現役の学生研究員へのグループインタビューやSNS利用の定点観察を通じて、企業のマーケティングや商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代が一番使っているSNSはどれですか?

1つに絞れないのが実態です。連絡はLINE、暇つぶしと流行の発見はTikTok、友人との近況共有はInstagram、趣味のつながりはX、じっくり見たい動画はYouTubeと、目的ごとに複数のSNSを役割分担させて併用しています。

Z世代がGoogleで検索しないというのは本当ですか?

まったく使わないわけではありませんが、目的によってはSNS内検索を優先します。飲食店やコスメはInstagramのタグ検索、ハウツーや流行はTikTok、リアルタイムの評判はXで調べる行動が定着しています。写真や動画、一般の人の体験談で判断したいという感覚が背景にあります。

裏垢とはどんなアカウントですか?

本アカウントとは別に、仲のよい少人数だけに公開するアカウントです。悪口の温床というより、愚痴や弱音を含む素の自分を見せる相手を絞るための仕組みで、本垢や趣味垢と合わせて複数のアカウントを使い分けます。

企業がZ世代にSNSでアプローチするには何が大切ですか?

宣伝色の強い投稿は視界に入りにくいため、プラットフォームの役割に合わせた設計が大切です。発見の場であるTikTokでは面白いコンテンツとして自然に出会ってもらい、検索の場であるInstagramでは調べたときに確かめられる状態を作ることが効果的です。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。