昼休みの教室に響く、間の抜けたワホーという声。放課後のプリクラ機の前で、両手を突き上げて決める爆裂ポーズ。2026年上半期の女子中高生の日常に、半年前には存在しなかった言葉が溶け込んでいます。彼女たちはいま何を話し、その言葉はどこから来たのか。発表されたばかりのランキングから読み解きます。
2026年のJK流行語一覧|コトバ部門の1位は意味のないワホー
女子中高生向けマーケティングを手がける株式会社AMFは、2026年6月末にJC・JK流行語大賞2026上半期を発表しました。全国の女子中学生・女子高校生およそ1,000人へのアンケートに、現役世代で構成するJC・JK調査隊の選考を重ねて選ばれています。コトバ部門の顔ぶれは次の通りです。
| 順位 | 流行語 | 意味・由来 |
|---|---|---|
| 1位 | ワホー | SEIKINさんが11年前の動画で発した一言。TikTok音源として再発掘された |
| 2位 | フレネミー | 友達のふりをして陰で足を引っ張る相手。friendとenemyを掛けた造語 |
| 3位 | 冷笑系 | 真剣な熱意に斜に構えて冷ややかな態度をとる人を指すネットスラング |
| 4位 | ば・く・れ・つ | M!LKの楽曲、爆裂愛してるのサビの掛け声。爆裂ポーズとセットで拡散 |
| 5位 | ほんまやでなんでやねん知らんけど | 4人組グループ、モナキの楽曲タイトル。関西弁をリズミカルにつないだ |
ヒト部門ではそのモナキが1位。コンテンツ部門では、1時間ごとに撮った約2秒の動画から1日のVlogを自動生成するアプリsetlogが1位でした。部門をまたいで眺めると、言葉のランキングというより彼女たちの半年間の生活記録として読めてきます。
ワホーの正体|11年前の動画が2026年の最先端になる
1位のワホーの元ネタは、YouTuberのSEIKINさんが2014年に公開したミンティアを一気食いする動画でのアドリブです。公開当時は埋もれていた一言が、11年の時を経てTikTokの音源として発掘され、シュールな語感だけで爆発的に広がりました。特定の意味はありません。意味がないことそのものが面白がられています。
同じ現象は他部門でも起きています。サカナクションが2012年に出した夜の踊り子は14年越しにリバイバルしてオリコンのストリーミングランキング1位を獲得し、約13年ぶりの新作となったトモダチコレクションは初週56万本を売り上げました。AMF代表の椎木里佳さんはこの半年を、時間軸が溶けていると表現しています。JKにとって2010年代前半は生まれた直後の知らない時代であり、だからこそ新鮮に映るのです。
フレネミーと冷笑系|笑えない言葉が上位に並んだ
2位と3位は毛色が違います。フレネミーは以前からある言葉ですが、グループLINEやSNS上の複雑な関係を言い当てる言葉として教室に再上陸しました。表では仲良く、裏では張り合う。その息苦しさに名前がつき、口に出せるようになったわけです。
冷笑系が指すのは、熱意を出すのはダサいという冷めた空気です。注目したいのは、彼女たち自身がその空気を名指しし、少し距離を置いて眺めていることです。遊びの言葉に混ざって、人間関係の緊張を言語化する言葉が上位に入る。流行語を語彙の入れ替えとして見てはいけない理由がここにあります。
ば・く・れ・つとモナキ|推しの楽曲が言葉の供給源になる
4位のば・く・れ・つは、M!LKが2026年2月にリリースした爆裂愛してるのサビが起点です。掛け声に合わせた爆裂ポーズがTikTokとプリクラの定番になり、関連投稿は8万件を超えました。5位のほんまやでなんでやねん知らんけども、SNS総再生数9億回を突破して2026年4月にメジャーデビューしたモナキの楽曲タイトルそのままです。
楽曲のフレーズが踊りごと日常語になる流れは、昨年のJC・JK流行語大賞2025でメロいが入賞したころから太くなっています。歌えて踊れて真似できる言葉は、SNSでの拡散と相性が抜群です。
流行語の生まれ方|2026年のJKは言葉を発明していない
今回の5語を並べると、生まれ方は3つに分かれます。
- 過去の発掘。ワホーのように、埋もれていた動画や楽曲を掘り起こして音源化する
- 推しの拡張。ば・く・れ・つのように、楽曲のフレーズを踊りとセットで日常へ持ち込む
- 関係の命名。フレネミーや冷笑系のように、既存の言葉で人間関係のモヤモヤに名前を与える
3つに共通するのは、ゼロから言葉を作っていないことです。すでにある素材を選び、いまの文脈に置き直して流行らせる。2026年のJKは言葉の発明者ではなく編集者であり、流行語大賞は彼女たちの編集センスのランキングだと研究所では捉えています。
流行語を暗記するだけでは半分しか見えません。どの素材を選び、どんな文脈に置き直したのか。その編集の手つきに、若者トレンド全体を貫く感性が表れます。
マーケティングで使うなら|ランキング入りは死語化の合図でもある
流行語大賞に載った言葉は知名度の頂点にあり、同時に大人に見つかった瞬間でもあります。広告コピーが追いかけるころ、当のJKは次の言葉へ移っている。ワホーを来年のキャンペーンに使えば、古さだけが残るでしょう。
取り入れる価値があるのは言葉そのものではなく、その裏で動いている感性です。過去を新鮮がる時間感覚、熱意と冷笑のあいだで揺れる距離感。個々の言葉の温度は若者言葉の辞典で確かめつつ、変化の底流を押さえることをおすすめします。
若者研究所では、現役の学生研究員へのグループインタビューや定点調査を通じて、流行語の温度感とその背後にある価値観の変化を捉えています。若者リサーチのご依頼やお問い合わせはお気軽にどうぞ。
よくある質問
2026年上半期のJK流行語の1位は何ですか?
マーケティング会社AMFが発表したJC・JK流行語大賞2026上半期のコトバ部門では、YouTuberのSEIKINさんが約11年前の動画で発した一言に由来するワホーが1位でした。特定の意味はなく、独特の語感が楽しまれています。
ワホー以外にはどんな言葉がランクインしましたか?
2位は友達のふりをして陰で足を引っ張る相手を指すフレネミー、3位は熱意に冷ややかな態度をとる人を指す冷笑系、4位はM!LKの楽曲に由来するば・く・れ・つ、5位はモナキの楽曲タイトルであるほんまやでなんでやねん知らんけどです。
JKの流行語はどのように生まれるのですか?
2026年上半期は、過去の動画や楽曲の再発掘、推しのアイドルの楽曲フレーズ、人間関係に名前を与える既存語の再流行という3つの生まれ方が目立ちました。ゼロから新語が発明されるケースはむしろ少数派になっています。


