デカドリンクはなぜ流行る?映えと満足感を両立する若者の飲みトレンド

両手で抱えるほど大きなカップのドリンクを、友だちと分け合いながら街を歩く。そんな光景を目にする機会が増えました。若者のあいだで「デカドリンク」と呼ばれる大容量ドリンクのことで、日経クロストレンドが発表した2026年の若者トレンド予測にも登場した、いままさに立ち上がりつつある流行です。
研究所でも学生研究員との雑談にたびたび登場するようになりました。話を聞いていると、これは単なる飲みものではなく、持ち歩く遊びに近い盛り上がり方をしています。

デカドリンクとは|500mlでは足りない若者の新定番

デカドリンクは、コンビニのペットボトルを大きく超える、1リットル前後の大容量ドリンクを指す言葉です。透明の巨大カップにフルーツティーやタピオカミルクティー、スムージーがたっぷり入って、値段は数百円ほど。
Z世代を研究するSHIBUYA109 lab.が発表したトレンド予測2026のフード部門にも選ばれており、複数の予測が同時に名前を挙げる、注目度の高い候補になっています。

火付け役はMIXUE|中国発チェーンが持ち込んだ価格の常識破壊

この流れを牽引する存在としてよく名前が挙がるのが、中国発のドリンクチェーンMIXUE(ミーシュー)です。1997年に中国の河南省で創業し、中国国内だけで2万店を超える規模に成長した激安ティードリンクの最大手で、日本にも上陸して池袋や高田馬場など若者と留学生の多い街から店舗を広げてきました。
看板のタピオカミルクティーやレモネードは100円台からという価格設定で、たっぷり入って安い。物価高で節約志向が強まる若者に、この組み合わせが刺さらないはずがありません。

映え・満足感・実用性|1杯で3つの価値を満たす

デカドリンクの強さは、若者が飲みものに求める複数の価値を1杯でまとめて満たしてしまう点にあります。

  • 映え。フルーツや層になったシロップが透ける巨大カップは、持っているだけで写真の主役になります
  • 満足感。量の多さがそのまま納得感につながり、価格とのバランスでコスパの良さを実感できます
  • 実用性。飲み切るまでに時間がかかるので、推し活の待機列やテーマパーク、放課後の長い時間をこの1杯で過ごせます

特に3つ目の実用性は見落とされがちです。研究員に聞くと、デカドリンクはその日ずっと一緒にいる相棒のような扱いで、飲み終わるまでの数時間がまるごと体験として買われています。写真を撮って終わりのトレンドとは、時間の長さが違うのです。

タピオカからデカドリンクへ|若者ドリンク文化の系譜

若者トレンドのなかでもドリンクは特に回転が速い領域で、数年周期で主役が入れ替わってきました。それぞれのブームで買われていた価値を並べると、デカドリンクの位置づけがはっきり見えてきます。

トレンド 時期の目安 買われていた価値
タピオカミルクティー 2018年ごろから 映え、行列に並ぶ体験の共有
バナナジュース、レモネード タピオカブーム後期 健康感、シンプルさ
韓国カフェのドリンク コロナ禍以降 世界観、空間ごとの没入
デカドリンク 2025年ごろから 量、安さ、シェアと長時間の体験

タピオカブームがコロナ禍で沈静化したあと、生き残ったのは大手チェーンが中心でした。その空白を埋めるように登場したデカドリンクは、映えという遺伝子を受け継ぎながら、そこに量と安さという時代の要請を掛け合わせています。

研究所でよく話すのは、ドリンクは若者にとって最も安価な自己表現メディアだということです。数百円でトレンドに参加でき、手に持って歩くだけで発信になる。服やコスメより圧倒的に低コストだからこそ、流行のサイクルが最も速く回る領域なのです。

盛れるより持つ|節約時代のシェア文化

デカドリンクの背景には、若者のお金の使い方の変化があります。カフェに長居すれば1人あたり千円近くかかりますが、デカドリンクなら1杯を数人で分け合って、公園や街を歩きながら長い時間を一緒に過ごせます。おいしさと価格の賢さを両立させる発想は、食の分野で注目されるウマカクの流れとも根っこを同じくしています。
1つの大きなカップを友だちと分け合う様子は、上の世代には少し驚きかもしれません。ただ研究員たちにとって、それは仲の良さの証明であり、動画のネタでもあります。シェアすること自体がコンテンツになっているのです。

飲食業界への示唆|大容量をどう商品設計に落とすか

デカドリンクは単発の飲料ブームではなく、量とコスパとシェアを軸にした消費行動の変化として読むべきトレンドです。飲食に関わる企業なら、次のような論点で自社への応用を考えられます。

  • サイズ展開の見直し。最大サイズを割高な選択肢ではなく、主役の看板商品として設計し直す
  • 時間への耐性。氷の溶けにくさや味の変化まで含めて、数時間持ち歩かれる前提で中身を設計する
  • シェアの想定。複数人で分けることを前提にしたカップやメニュー名で、グループ客の来店動機をつくる

こうした個別の兆しは、単体で追うより世代全体の文脈のなかで読むと精度が上がります。全体像は2026年の若者トレンドの記事で整理していますので、あわせてどうぞ。

若者研究所では、現役の学生研究員へのインタビューや定点調査を通じて、フードやドリンクのトレンドの兆しを企業のマーケティングと商品開発につなげる支援をしています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

デカドリンクとはどんなドリンクですか?

500mlのペットボトルを大きく超える、1リットル前後の大容量ドリンクを指す若者言葉です。フルーツティーやタピオカミルクティーなどを透明の大きなカップで提供する店が多く、安さと映えを兼ね備えている点が特徴です。

デカドリンクはなぜZ世代に人気なのですか?

写真映えする見た目、量による満足感、長時間持ち歩ける実用性を1杯で満たせるためです。物価高で節約志向が強まるなか、数百円でトレンドに参加できる手軽さも支持されています。友だちと分け合うシェア文化とも相性が良い飲みものです。

デカドリンクの代表的なお店はどこですか?

中国発の激安ドリンクチェーンMIXUEがよく知られています。1997年に中国の河南省で創業した世界的な大手で、タピオカミルクティーやレモネードを低価格で提供しており、日本でも若者の多い街を中心に店舗を広げています。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。