Threadsは若者にどう使われている?Z世代のXとの使い分けの実態

昼休みの研究会で、学生研究員のスマホをのぞかせてもらいました。Instagramを開いたのかと思いきや、画面に並ぶのは写真ではなく短い文字の投稿ばかり。Threadsです。見た目はXにそっくりなのに、流れてくる言葉はどこか穏やかで、今日の夕飯が決められないという独り言に、知らない誰かが丁寧なおすすめを返しています。この不思議な空間を、若者はどう使っているのでしょうか。

Threadsの出自|インスタと地続きで生まれたテキストSNS

Threadsは2023年7月にMetaが公開したテキスト中心のSNSです。最大の特徴は、Instagramのアカウントでそのまま始められること。ユーザー名やフォロー関係を引き継げる設計が効いて、公開からわずか5日で登録者は1億人を超えました。当時のXが相次ぐ仕様変更で揺れていたことも追い風になり、SNS史上まれに見る速さの立ち上がりでした。
もっとも、初速のあとは静かな時期が続きます。流れが変わったのは、フォローしていない人の投稿が流れてくるおすすめフィードが磨かれてから。偶然の出会いで読ませるアプリへ育つにつれ、日本でも投稿と閲覧がじわじわ増えていきました。

若者はどれくらい使っているのか|利用率15.2%の意味

サイバーエージェントの次世代生活研究所が2025年に発表したZ世代のSNS利用率の調査では、Threadsの利用率は15.2%でした。LINEやInstagramのように全員が入れているアプリではなく、10人に1人か2人が使う規模です。それでも2023年の登場以来、数字は着実に伸び続けています。
研究所の体感も同じです。1年前はThreadsの名前を出す研究員はほとんどいませんでしたが、いまは毎日見ている、Xより先に開くという研究員が珍しくなくなりました。全員のSNSではないからこそ、使っている若者の熱量は高いのです。

ポジティブ文化の正体|論争を遠ざける運営の設計

Threadsの空気はXと似て非なるものです。Instagram責任者のアダム・モセリ氏は、政治やハードニュースをおすすめで積極的に扱わない方針を公開当初から表明してきました。論争で数字が伸びる場所ではなく、雑談と共感で回る場所。運営の設計思想が、殺伐としにくい土壌を用意しています。
研究員に聞くと、Threadsは平和だという表現が繰り返し出てきます。攻撃的な引用で晒される恐怖が薄く、ゆるい投稿にゆるい返信が付く。Xで身につけた防御姿勢を、ここでは少しだけ解除できるのだといいます。

Xの文化は言葉の強さを競い、Threadsの文化は感じの良さを競う。同じテキストSNSでも、評価される振る舞いは正反対です。研究所ではそう捉えています。

X・Threads・インスタの使い分け|3つの顔の整理

では実際に、若者は3つのアプリをどう切り替えているのか。研究員の使い方を整理すると、役割の違いがはっきり見えてきます。

アプリ 若者にとっての役割 投稿とのかかわり方
X 実況や推し活、検索のための受信の道具 見るのが中心で、自分からはほとんど投稿しない
Threads 知らない人に向けたゆるい発信の場 夕飯の悩みや小さな愚痴など、日常の独り言を書く
Instagram 友人関係を維持する近況共有の場 ストーリーズ中心に、見せてよい日常だけを置く

Xが受信専用の道具になっていく経緯はX離れの記事で扱いましたが、そこで行き場を失った日常の発信の一部が、Threadsに流れ込んでいます。友人に見せる顔はインスタの使い方で述べたとおりストーリーズへ。誰でもない自分の独り言はThreadsへ。宛先ごとにアプリを替えるのが、いまの標準的な振る舞いです。

なぜThreadsには書けるのか|知り合いのいない縁側

興味深いのは、インスタと連携して始められるのに、Threadsでは知り合いとあえてつながり直さない若者が多いことです。おすすめフィード中心の設計だから、フォロワーがゼロでも投稿は誰かに届き、返信も付きます。顔見知りには見られない気楽さと、完全な匿名掲示板ほど荒れない安心感。その中間にThreadsは立っています。

Threadsは、本アカウントの人格を背負わずに済む縁側のような場所。インスタの隣にありながら、インスタの人間関係からいちばん遠い。それが若者に選ばれた理由だと研究所は考えています。

企業やメディアはThreadsとどう向き合うか

Threadsではフォロワー数の意味が軽く、おすすめフィード経由で単発の投稿が読まれます。作り込んだ宣伝よりも、中の人の素朴な語りが届く場所です。若者の飾らない本音が流れてくる観測地点として価値がある一方、利用率15.2%という規模を思えば、ここで見える声がZ世代の全体像でないことも確かです。
Xでは黙って見て、インスタでは顔を使い分け、Threadsには独り言を置く。この複雑な生態は、Z世代のSNS利用の全体像の中に置いてはじめて正しく読めます。1つのアプリのタイムラインだけで若者を語ると、確実に見誤ります。

若者研究所では、現役の学生研究員へのヒアリングや定点調査を通じて、SNSの使い分けの背後にある若者の本音を企業やメディアに届けています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

ThreadsとXは何が違いますか?

Threadsは2023年7月にMetaが公開したテキストSNSで、Instagramのアカウントでそのまま始められます。政治や論争をおすすめで積極的に扱わない方針のもと穏やかな雑談中心の文化が育っており、言葉の強さが注目を集めやすいXとは投稿の空気が大きく異なります。

Threadsは若者にどのくらい使われていますか?

サイバーエージェントの次世代生活研究所が2025年に発表した調査では、Z世代の利用率は15.2%でした。全員が使うアプリではないものの2023年の登場以来利用は伸び続けており、毎日開く熱心な若いユーザーが増えています。

若者はThreadsに何を投稿していますか?

夕飯の悩みや小さな愚痴といった日常の独り言が中心です。知り合いとあえてつながらずに使う人が多く、顔見知りに見られない気楽さがあるため、Xでは書きにくくなった飾らない本音の受け皿になっています。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。