Z世代のインスタグラム利用実態|ストーリーズ中心の使い方の実像

研究員にInstagramのプロフィールを見せてもらうと、フィードの投稿は数枚だけ、最後の更新は半年前ということが珍しくありません。ではインスタを使っていないのかといえば、まったく逆です。
開く回数はどのアプリより多いのに、投稿はほとんど残っていない。この一見矛盾した状態こそ、Z世代のインスタ利用の実像です。動いているのはフィードの外側、つまりストーリーズとDMと検索と保存です。

フィードに投稿しない理由|残り続けるものへの慎重さ

フィードの投稿は、プロフィールを開けば誰でもさかのぼれる形で残ります。数年後の自分や、まだ出会っていない誰かに見られる可能性まで含めて残り続ける。だからZ世代はフィードに置くものを厳選します。載せるのは誕生日や卒業、旅行のような節目だけで、フィードは数か月に1度だけ更新される記念アルバムのような場所になっています。
発信したくないわけではありません。残るものと流れるものを分けて管理しているのです。Z世代の世間体意識の強さを踏まえれば、消えない場所での自己表現に慎重になるのは自然な流れです。

インスタの中の場所ごとに、見せる相手と置くものを整理すると次のようになります。

場所 見せる相手 置くもの
フィード フォロワー全体と検索で来る他人 節目の記録。厳選した数枚
ストーリーズ フォロワー全体 24時間で消える日常
親しい友達 選んだ数人 愚痴や弱音を含む素の近況
DM 1対1や少人数 会話。ストーリーズへの反応が入口
保存・コレクション 自分だけ 行きたい店や欲しいもののメモ

ストーリーズと親しい友達|内輪に向けて日常を流す

日常の共有を引き受けているのがストーリーズです。24時間で消えるからこそ、ランチの写真も、テスト勉強の進み具合も、意味のない空の写真も気軽に流せます。
その内側には親しい友達という圏内があります。選んだ相手にだけストーリーズを見せる限定公開の機能で、ここに流れるのは弱音や本音を含んだ素の近況です。誰をこの圏内に入れるかは、そのまま関係の距離の表明になります。

研究所でよく話題になるのは、ストーリーズが投稿というより会話の呼び水だということです。見たよという反応がDMで届き、そこから会話が始まる。ストーリーズは発信ではなく、内輪に向けて開いた窓に近いものです。

DMがLINEより気楽|相手によって通路を選ぶ

連絡といえばLINEと思われがちですが、Z世代にはインスタのDMのほうが気楽な相手がいます。学校やバイトの連絡網でもあるLINEは、既読の作法が重く、どこか義務の匂いがする。一方のDMはストーリーズへの絵文字ひとつから始められて、返さなくても角が立ちにくい。
知り合ったばかりの相手とは、LINEではなくインスタのアカウントを交換して距離を測ることも増えました。連絡先の交換にも段階があるわけです。LINEやTikTokを含めたSNS全体の使い分けの構造の中で、DMは軽い関係のための通路として位置づいています。

保存とコレクション|インスタが買い物メモになる

いいねより保存。Z世代のインスタ利用で見逃されがちなのがこの行動です。気になったカフェ、欲しいコスメ、参考にしたいコーデやレシピを保存し、コレクション機能でフォルダ分けして、自分だけのカタログを育てていきます。
いいねは相手に伝わる社交ですが、保存は誰にも見えない本音です。週末に行く場所を保存フォルダから選び、買い物の前に保存したコスメを見返す。インスタはここで、眺める場所から購買のメモ帳へと役割を変えます。

検索エンジンとしてのインスタ|カフェもコスメもタグで探す

初めての街でカフェを探すとき、Z世代が開くのはGoogleではなくインスタの検索窓です。地名とカフェを組み合わせたタグ検索で実際の投稿を眺め、店の雰囲気やメニュー、客層まで写真で確かめてから行き先を決める。コスメも同じで、公式の宣伝画像より一般の人の使用感の投稿を信じます。
文字の説明より写真と動画で判断したい。公式の情報より体験談を信じたい。この感覚が、検索エンジンとしてのインスタを支えています。ググらない検索行動はインスタに限らず、TikTokやXにもまたがる大きな変化です。

企業アカウントはどう見られているか

この使い方を前提にすると、企業アカウントの見られ方も変わって見えます。研究員たちの話を聞くかぎり、フォローを促す運用や宣伝色の強いフィード投稿は、そもそも視界に入っていません。
むしろ意識したいのは次の3点です。

  • タグや場所検索で見つかる投稿を積み、検索経由の来訪に備える
  • 比較やまとめなど、保存して後から見返したくなる形に情報を整える
  • 作り込んだ世界観より、ストーリーズでの等身大の発信を続ける

フォロワー数を追うより、誰かの保存フォルダに入り、買い物の直前にもう一度開かれる存在になる。Z世代にとってのインスタが検索とメモの道具である以上、企業もその文脈に沿うのが近道です。

若者研究所では、現役の学生研究員へのインタビューやSNS利用の観察を通じて、企業のマーケティングと商品開発を支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代はなぜインスタのフィードに投稿しないのですか?

フィードの投稿はプロフィールに残り続け、誰でもさかのぼって見られるためです。数年後に見られる可能性まで考えて載せるものを厳選し、誕生日や旅行のような節目だけを投稿します。日常の共有は24時間で消えるストーリーズが担っています。

親しい友達機能はどのように使われていますか?

選んだ相手にだけストーリーズを見せる限定公開の機能で、愚痴や弱音を含む素の近況を流す内輪の圏内として使われています。誰をこの圏内に入れるかが、そのまま関係の距離の表明にもなっています。

企業がZ世代のインスタ利用に対応するには何が大切ですか?

フォロワーを増やす運用よりも、検索されたときに見つかることと、保存したくなる情報の形を意識することが大切です。お店やコスメはタグ検索で調べられるため、実際の様子が伝わる投稿や後から見返せるまとめが効果的です。保存の数は購買に近い関心のサインです。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。