Z世代向けの新商品を、Z世代がひとりもいない会議室で決めていないでしょうか。発売してから若者の反応の薄さに気づいても、もう引き返せません。私たち若者研究所に寄せられる商品開発の相談でこのところ目立つのが、若者の意見を聞きながら一緒に作りたいという共創型の依頼です。ただし若者を呼べばうまくいくわけではなく、巻き込み方の設計こそが成否を分けます。
商品開発にZ世代を巻き込む理由|想像で作ると細部でバレる
大人だけのチームが想像で企画したZ世代向け商品は、当の若者から見ると細部の違和感がすぐに伝わります。言葉選び、パッケージの質感、SNSでの見え方。どれかひとつズレただけで、若者っぽく作られた何かとして静かに距離を置かれます。
しかも今は発売直後にSNSでどう語られるかが売れ行きを左右します。開発の最終盤で初めて若者に見せるのではなく、企画の早い段階から当事者の感覚を入れておくことが、外さないための現実的な打ち手です。これはZ世代マーケティング全体に通じる考え方でもあります。
研究所でよく話すのは、共創は調査の一種ではなく開発体制の話だということです。若者を意見をもらう相手ではなく一緒に作るメンバーとして位置づけた瞬間に、出てくる言葉の質が変わります。
若者を巻き込む4つの方法|座談会・検証・テスト・投票
ひとくちに共創といっても、開発のどの段階で何を一緒にやるかで手法が変わります。代表的な4つを整理します。
| 手法 | 開発フェーズ | わかること |
|---|---|---|
| アイデア出しの座談会 | 企画の初期 | まだ言葉になっていない不満や欲しいもの |
| コンセプト検証 | 企画の中盤 | 刺さる言葉と刺さらない言葉の差、買う理由 |
| 試作品テスト | 開発の終盤 | 第一印象と使い勝手、SNSでどう語られそうか |
| ネーミング投票 | 発売前 | 候補のうちどれが自分ごとになるか |
座談会は正解探しではなく、若者同士の雑談から欲望の原石になる一言を拾う場です。コンセプト検証では企画書の言葉がそのまま若者に通じるかを確かめます。社内では通る表現が、若者には広告っぽい言葉として素通りされることは珍しくありません。
試作品テストでは機能の評価だけでなく、これを友達にどう見せたいかまで聞きます。ネーミングやパッケージの投票は参加のハードルが低く、大人数を巻き込みやすい入口になります。
共創の失敗パターン|聞くだけで終わる、答え合わせに使う
共創がうまくいかない企業には、はっきりした共通点があります。
- 意見を集めたのに商品へ反映されず、参加した若者が離れていく
- 社内ですでに結論が決まっていて、若者の声を裏づけとして都合よく使う
- 一度きりのワークショップで関係が切れ、発売時には熱が冷めている
とくに多いのが二つ目、大人の答え合わせ型です。上申資料に若者の声という一行がほしいだけの場では、参加者は空気を読んで期待どおりの回答をくれます。それは共創ではなく、確認作業です。
一つ目の聞くだけ型も根深い問題です。自分の意見がどこにも反映されなかったと感じた若者は、次の機会に本音を出さなくなります。共創は一度失敗すると、参加者との信頼ごと失うのです。
共創が機能する3つの条件
失敗パターンを裏返すと、機能する条件が見えてきます。
第一に、反映される実感です。もらった意見のうち何を採用し、何を採用しなかったか。理由とともに参加者へ返すだけで、次の回に出てくる意見の質が上がります。
第二に、本音が出る場の設計です。人数、参加者同士の関係性、問いの立て方、進行役の振る舞い。このあたりは若者リサーチの手法と地続きで、場づくりを誤ると建前しか集まりません。
第三に、継続的な関係です。単発の座談会より、同じメンバーと企画から発売まで並走するほうが、遠慮のない指摘が出てきます。関係が深まるほど、若者は悪い点を率直に言ってくれるようになります。
若者は意見を求められること自体には慣れています。彼らが見抜くのは、その意見がちゃんと使われる場かどうかのほうです。
共創プロジェクトの進め方|5つの実務ステップ
実際に若者を巻き込むときは、次の順番で設計します。
- 目的を言語化する。アイデアがほしいのか、企画の検証か、発売前の最終確認かを決める
- 巻き込むフェーズを決める。目的に合わせて座談会、検証、テスト、投票を配置する
- 参加者を集める。属性だけでなく、そのカテゴリーへの温度感でスクリーニングする
- セッションを設計して実施する。問いと進行を作り込み、発言を記録して構造化する
- 反映と共有を行う。採否の結果を参加者へ返し、社内には発言の生の温度ごと共有する
忘れられがちなのが最後の共有です。若者の発言は要約すると熱が消えます。開発チームや意思決定層に生の言葉のまま届けることが、社内を動かすいちばんの燃料になります。発売後にどう届けるかまで含めた全体設計は、Z世代の消費行動を踏まえて考える必要があります。
学生研究員100人と作る|若者研究所の共創体制
若者研究所には、現役の学生研究員が100人以上所属しています。2010年の発足から若者研究を続けてきたコミュニティなので、研究員として鍛えられたZ世代と一緒に商品を作れます。
アイデア出しの座談会から、コンセプト検証、試作品テスト、ネーミングやパッケージの投票まで、開発フェーズに合わせて一気通貫で伴走します。研究員は自分の感覚を言語化する訓練を積んでいるため、好きか嫌いかで終わらず、なぜそう感じるのかまで掘り下げた言葉が返ってくるはずです。
若者研究所では、企業の商品開発チームと学生研究員が同じテーブルで作る共創ワークショップを提供しています。単発の座談会から発売までの継続伴走まで、目的に合わせて設計しますので、若者リサーチ・共創ワークショップの相談からお気軽にご連絡ください。まだ企画が固まっていない段階の壁打ちでも歓迎です。お問い合わせはいつでも受け付けています。
よくある質問
商品開発にZ世代を巻き込むには、どんな方法がありますか?
開発フェーズに合わせて手法を選びます。企画初期はアイデア出しの座談会、企画中盤はコンセプト検証、開発終盤は試作品テスト、発売前はネーミングやパッケージの投票が代表的です。目的を決めてから手法を配置することが大切です。
若者との共創でよくある失敗は何ですか?
意見を集めたのに商品へ反映しないまま終わるケースと、社内で決まった結論の裏づけとして若者の声を使う答え合わせ型が代表的です。反映されない経験をした若者は次から本音を出さなくなるため、採否の結果を理由とともに参加者へ返すことが重要です。
共創はどの段階から始めるのが効果的ですか?
企画の早い段階からがおすすめです。開発の最終盤で初めて若者に見せると、違和感が見つかっても修正できません。企画初期の座談会から発売前の投票まで、同じメンバーと継続的に並走するほど遠慮のない指摘が出やすくなります。


