Z世代に嫌われる広告の特徴7選|秒で閉じられる広告の共通点

スキップボタンを連打し、広告が出た瞬間にアプリごと閉じる。Z世代の広告回避は、大人の想像より速く、そして容赦がありません。ただ、研究員たちと話していて気づくのは、彼らが広告そのものを憎んでいるわけではないことです。好きなクリエイターの案件動画は最後まで見るし、面白いCMは自分から探しに行く。嫌われているのは広告ではなく、広告がまとう違和感のほうです。
秒で閉じられる広告には、はっきりした共通点があります。

若者ぶった言葉遣い|寄せてきた瞬間に冷める

「それな」「しか勝たん」のような若者言葉を大人が広告コピーに使うと、ほぼ確実に冷められます。教室に入ってきて急に流行りの言葉を使う先生を見たときの、あの気まずさに近い感覚です。
若者言葉は内輪の符丁で、鮮度が命。広告として世に出る頃には制作から時間が経っていて、当の若者の間ではすでに古びています。しかも符丁は仲間内で使うから意味があるもので、外側から寄せてこられると、距離を詰めたい下心だけが透けて見えます。

説教くさい|生き方の正解を上からかぶせてくる

夢を持て、挑戦しろ、自分らしくあれ。メッセージ自体は立派でも、広告から言われると急に説教に変わります。
Z世代は多様性を前提とした教育の中で育ち、生き方に正解はないという感覚を強く持っています。だからこそ、特定の生き方を正解として掲げる広告には敏感です。共感の形をした押し付けは、押し付けだと一瞬で見抜かれる。応援が上から目線に転じる境界線は、大人が思うよりずっと手前にあります。

ステマ感|本音のふりをした広告は信頼ごと壊す

買う前にSNSで一般の人の口コミを探すのは、企業の公式情報より個人の本音を信じているからです。Z世代のSNSの使い分けを見ても、InstagramやTikTokでの検索は体験談を確かめる行為として定着しています。
だからこそ、本音のふりをした広告への反発は激しい。PR表記のないインフルエンサー投稿や、口コミを装ったレビューがそれです。2023年10月にはステルスマーケティングが景品表示法の規制対象になりましたが、法律で罰せられるより先に、受け手の信頼が壊れます。一度ステマ感を持たれたブランドの投稿は、以後すべて色眼鏡で見られます。

スキップ不可の押し付け|奪われるのは時間ではなく選択権

スキップできない動画広告、閉じるボタンが極端に小さいバナー。この種の広告が嫌われる理由は、内容以前の問題です。
動画を倍速で見て、イントロの長い曲は飛ばす。タイパを重んじる感覚の核心は、時間の節約そのものより、何に時間を使うかを自分で決めたいという欲求にあります。スキップ不可の広告はその選択権を正面から奪う仕組みなので、中身がどれだけ良くても、見せられた時点で敵になります。

過度な煽り|今だけ、あなただけ、が胡散臭く響く

今だけ半額、残りわずか、知らないと損する。不安や焦りを押すタイプの広告は、Z世代には特に効きにくくなっています。
生まれたときからネット広告に囲まれて育った世代は、煽り文句をパターンとして記憶しています。煽りが強い広告ほど怪しいというリテラシーが、経験則として身についている。損はしたくないけれど、煽られて買うのは負けという感覚すらあります。焦らせて動かす手法は、動かすどころか警戒心のスイッチを押します。

Z世代向けと銘打つこと|くくられた瞬間に自分宛てでなくなる

意外かもしれませんが、Z世代向けと大きく掲げること自体が、嫌われる要素になります。
世代でひとくくりにされることへの抵抗感は、研究員たちから繰り返し聞く話です。くくられると、個人として見られていない感じがする。Z世代の皆さんへ、と呼びかけられた瞬間に、それは誰か別の人へのメッセージになります。
世代論はあくまで作り手側の分析の道具です。Z世代マーケティングの設計に使うのはよくても、広告の表面に出してしまうと、分析されている感だけが伝わります。

研究所でよく出る結論があります。嫌われているのは広告という形式ではなく、こちらを軽く見ている気配だということです。若者はこう言えば動く、という前提が透けた広告は、内容を問わず閉じられます。

世界観の借り物感|そして嫌われない広告への転換点

流行したミームや音源、TikTokらしい編集をなぞっただけの広告も、すぐに見抜かれます。おすすめフィードでは本物の投稿と広告が同じ土俵に並ぶため、借り物の世界観は質感の違いでバレる。文化を作る側ではなく消費しに来た側だと分かった瞬間、心は離れます。
7つの特徴を並べると、裏側の心理は次のように整理できます。

嫌われる特徴 裏側にある心理
若者ぶった言葉遣い 内輪の言葉に土足で入られた不快感
説教くささ 生き方の正解を押し付けられる息苦しさ
ステマ感 本音を信じたい気持ちへの裏切り
スキップ不可 時間と選択権を奪われる不快感
過度な煽り 不安で動かされることへの警戒
Z世代向けの明記 ひとくくりにされる居心地の悪さ
世界観の借り物感 文化を消費されることへの反発

転換のポイントは、広告っぽくない広告を目指すことではありません。むしろ逆です。広告であることを隠さず、正直に、対等に振る舞う。出自を明かしたうえで面白い。若者の言葉を借りず、ブランド自身の言葉で語る。スキップの自由を残した設計にする。案件と分かっていても、誠実な広告には広告なのに好きというコメントさえ集まります。具体的な打ち手はZ世代マーケティングの型として別記事で整理していますが、出発点はこの7つの違和感を裏返すことにあります。

若者研究所では、現役の学生研究員による広告クリエイティブの受容性調査やグループインタビューで、企業のコミュニケーション設計を支援しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代に嫌われる広告にはどんな特徴がありますか?

代表的なのは、若者ぶった言葉遣い、説教くささ、ステマ感、スキップできない押し付け、過度な煽り、Z世代向けと銘打つこと、流行をなぞっただけの借り物感の7つです。共通するのは、受け手を軽く見ている気配が透けて見えることです。

Z世代は広告そのものが嫌いなのですか?

広告という形式自体を憎んでいるわけではありません。好きなクリエイターの案件動画は最後まで見ますし、面白いCMは自分から探しに行きます。嫌われるのは、時間や選択権を一方的に奪ったり、本音のふりをして近づいたりする広告のあり方です。

Z世代に受け入れられる広告を作るには何が大切ですか?

広告であることを隠さず、正直で対等な姿勢を見せることが出発点です。無理に若者言葉を使わずブランド自身の言葉で語ること、PRの出自を明かしたうえで面白いこと、スキップの自由を残した設計にすることが受け入れられやすさにつながります。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。