ググらない世代は本当か?Z世代の検索行動とタグる・AIに聞くの実態

Z世代はググらない。マーケティングの現場で半ば定説のように語られる言葉です。ところが研究所で学生研究員たちの検索行動を観察していると、この言説は実態の半分しか捉えていないことが分かります。彼らは今日も普通にググっています。変わったのはGoogleの位置づけと、検索の入口が複数に増えたことでした。

ググらない世代は半分本当で半分誤解

この言説の火付け役は、米Googleの検索部門幹部が2022年のイベントで語った発言でした。18歳から24歳の若者のほぼ4割が、昼食の店を探すときにGoogleマップや検索ではなくInstagramやTikTokを開く。検索の本家が自ら明かした事実は世界中で報じられ、日本でもググらない世代という言葉が一気に広まりました。

ただ、4割が使わないという話は、6割はまだ使っているという話でもあります。研究員たちに聞いても、レポートの資料集めや営業時間の確認、ニュースの真偽を確かめる場面では迷わずGoogleを開きます。
ググらないのではなく、Googleが唯一の入口ではなくなった。こちらのほうが実態に近い表現です。

目的別の検索先マトリクス|タグるが先、ググるは後

ハッシュタグをたどって探す「タグる」という言葉が生まれてから、もう10年近く経ちます。いまの学生にとってタグ検索は特別な技ではなく、目的に応じて検索先を切り替える一連の動作の一部です。研究員との会話から見えてきた使い分けを整理すると、おおよそ次のようになります。

知りたいこと まず開くもの あわせて使うもの
カフェ・飲食店 Instagram Googleマップ・食べログ
コスメ・服・ガジェット InstagramとTikTok YouTube・X
ハウツー・作業のやり方 YouTubeとTikTok Google
ニュース・事実確認 GoogleとX 公式サイト
悩み相談・考えの整理 生成AI SNS・知恵袋

興味深いのは、1つの買い物の中で複数の入口を行き来することです。TikTokで商品を知り、Instagramのタグで実際の使用感を確かめ、最後にGoogleで最安値と公式情報を調べる。
入口はSNS、裏取りはGoogle。この往復が標準の流れになっています。プラットフォームごとの役割分担はZ世代のSNS使い分けで詳しく分析しています。

公式情報より実体験を信じる理由

入口がSNSへ移った理由を研究員に尋ねると、答えは驚くほど一致します。公式の情報は良いことしか書いていないから、です。企業サイトや広告よりも、自分と近い立場の人が投稿した写真や失敗談のほうが判断材料になる。加工されていない実体験こそが、彼らにとっての一次情報なのです。

研究員と話していてよく耳にするのが、Googleは答え合わせに使うという言い方です。SNSで出会った情報を信じ切るわけではなく、最後は検索で裏を取る。ググらないと呼ばれる世代のほうが、むしろ情報の吟味には慎重です。

広告を見抜く感度も高く、PR表記のない宣伝めいた投稿は素早く読み飛ばされます。星の数のように集計された評価より、顔の見える一人の具体的な体験談。この基準を押さえないまま露出だけ増やしても、信頼にはつながりません。

AIに聞くという第三の入口

ここ数年で存在感を増しているのが、ChatGPTをはじめとする生成AIに聞くという行動です。検索と違って、あいまいな悩みをそのまま文章で投げられるのが持ち味で、進路の相談、レポートの構成、旅行プランの叩き台づくりなど、正解が1つではない問いに使われています。
調べるはGoogle、探すはSNS、相談するはAI。役割は少しずつ、しかしはっきりと分かれてきました。

もっとも、研究員たちはAIの答えを鵜呑みにしているわけでもありません。AIの回答を出発点にして、SNSと検索で確かめる多段構えが基本です。この世代とAIの距離感はAIネイティブ世代の実態で掘り下げています。

マーケティングへの示唆|SEOだけでは届かない

ここまでの実態が示すのは、検索結果の上位を取るだけでは若者との接点を作れないという現実です。店舗やD2Cブランドなら、Instagramのタグ検索と発見タブにどう写るか。使い方の説明が要る商材なら、YouTubeとTikTokに実演コンテンツがあるか。そして生成AIが自社をどう説明するか。
SEO、タグ、動画、AI回答という4つの入口を横断して設計する必要があります。

もう1つ大切なのは、入口ごとに求められる情報の質が違うことです。SNSでは等身大の実体験、Googleでは正確な公式情報、AIには構造化された分かりやすい説明。同じ素材の使い回しでは、どの入口でも選ばれません。

若者に届かないと感じたとき、疑うべきはメッセージの中身より先に、入口の選び方かもしれません。

若者研究所では、現役の学生研究員への定点調査やグループインタビューを通じて、Z世代の検索行動と情報接触の実態を企業のマーケティングにつなげています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

Z世代は本当にGoogleを使わないのですか?

使わないわけではありません。飲食店やコスメ探しはInstagramやTikTokが入口になる一方、事実確認や営業時間の確認、最安値の比較ではGoogleが使われています。入口がSNSへ移り、Googleは裏取りの道具として位置づけが変わったと捉えるのが実態に近いです。

タグるとはどういう意味ですか?

ハッシュタグをたどって情報を探す行動を指す言葉です。InstagramやTikTokで地名や商品名のタグを検索し、一般の利用者が投稿した写真や動画から実際の雰囲気や使用感を確かめる方法で、Z世代の情報収集の入口として定着しています。

若者に情報を届けるにはSEOだけでは不十分ですか?

検索エンジン対策だけでは接点の一部しかカバーできません。若者は目的によってInstagram、TikTok、YouTube、生成AIと入口を使い分けるため、タグで見つかる投稿、動画コンテンツ、AIに引用されやすい公式情報など、複数の入口を横断した設計が必要です。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。