タグるとは?SNS検索から始まるZ世代の買い物と企業が知るべき変化

気になるカフェを見つけたとき、Googleで店名を打ち込む前にInstagramでハッシュタグを検索する。この動きを表すのが「タグる」という言葉です。
検索エンジンでググるのではなく、SNSのタグをたどって情報を探す。若者の買い物は、いまやこの動作から始まっています。企業が発信した情報が届く前に、勝負はハッシュタグの中で決まっているのです。

タグるとは|ググるとの違いをひと目で整理する

タグるとは、SNSのハッシュタグを手がかりに情報を探す行動を指します。電通メディアイノベーションラボの天野彬氏が著書『シェアしたがる心理』などで広めた概念で、検索エンジンで調べるググると対になる言葉として定着しました。

ふたつの違いは、使うツールの差にとどまりません。何を信じ、何を判断材料にするか。情報との付き合い方そのものが異なります。

比較軸 ググる タグる
主な場所 Googleなどの検索エンジン InstagramやTikTokなどのSNS
得られる情報 公式サイト・解説記事 一般ユーザーの投稿と体験談
判断材料 テキスト中心の説明 写真や動画で伝わる実物の空気感
重視する点 正確さと網羅性 自分に近い人の実感

正解を確かめたいときはググる。失敗しない選択肢を探したいときはタグる。若者はこのふたつを無意識に使い分けています。

なぜタグるのか|広告よりリアルを信じる心理

背景にあるのは、検索結果への不信感です。検索エンジンで商品名を調べると、上位には広告や販売目的の記事が並びます。どれも良いことしか書いていないように見えてしまう。
一方でハッシュタグ検索なら、宣伝ではない一般ユーザーの投稿にたどり着けます。加工されすぎていない写真、正直な使用感、自分と似た体型や肌質の人のレビュー。この生の情報こそが、いま最も信頼される判断材料になっています。

もうひとつの理由は、失敗への感度です。限られたお小遣いやアルバイト代で買い物をする学生にとって、買って後悔することは避けたいリスクそのもの。だからこそ購入前に複数の投稿を見比べ、実物とのギャップを徹底的に潰します。こうした検索行動の変化は、買い物だけでなくお店選びや進路選びにまで広がっています。

研究員と話していると、Googleは答えを確かめる場所、SNSは出会って確かめる場所、という感覚が共有されていることに気づきます。情報の入口が、そもそも違うのです。

買い物はハッシュタグから始まる|購買の流れはこう変わった

タグるが当たり前になったことで、購買の起点は店頭でも検索エンジンでもなく、SNSのフィードとタグ検索に移りました。日経トレンディが選ぶ2021年のヒット商品ランキングで、TikTokをきっかけにモノが売れる「TikTok売れ」が1位になったのは、この変化を象徴する出来事です。

典型的な流れはこうです。おすすめに流れてきた投稿で商品を知り、気になったらハッシュタグや商品名でタグって投稿を見比べる。良さそうなら保存しておき、店頭で実物を確認したりECで価格を見たりしてから買う。
認知から比較検討までがSNSの中で完結し、検索エンジンは最後の価格確認くらいにしか登場しないことも珍しくありません。Z世代の消費行動の全体像から見ると、タグるは単なる検索テクニックではなく、購買ファネルの入口が置き換わった現象だとわかります。

プラットフォームで違うタグり方|Instagram・TikTok・X

ひとくちにタグると言っても、使われ方はプラットフォームごとに異なります。

  • Instagramは見た目の確認役。カフェやファッション、コスメなどビジュアルが決め手になるジャンルで強く、保存機能が買い物メモとして使われます
  • TikTokは出会いの装置。検索する前におすすめフィードが商品を連れてくるため、認知のきっかけになりやすい場所です
  • Xは本音の確認役。良い評判だけでなく、不具合や悪い口コミがないかを裏取りする場として機能します

ひとつの買い物の中で、複数のSNSに役割を分担させながら渡り歩く。この使い分けの細かさが、いまの若者の情報リテラシーの高さを物語っています。

企業は何をすべきか|タグられる商品の条件

タグる世代に選ばれるためには、広告を増やすことよりも、タグられたときに何が表示されるかを設計することが先決です。

  • 商品名やブランド名でタグ検索されたとき、リアルな投稿が十分にあるか
  • 思わず写真を撮りたくなるパッケージや体験が用意されているか
  • 公式ハッシュタグが覚えやすく、投稿する側にも楽しさがあるか

鍵になるのは、投稿したくなる仕掛けを商品そのものに埋め込む発想です。豪華なインフルエンサー起用よりも、等身大のユーザー投稿が積み重なっている状態の方が、タグ検索の結果画面では強い説得力を持ちます。
そのためには、若者が何を撮り、何を保存し、どんな言葉で探しているのかという消費行動の解像度を上げることが欠かせません。

若者研究所では、現役の学生研究員100人以上への定点調査やグループインタビューを通じて、タグる世代のリアルな検索と購買のプロセスを観察しています。若者リサーチのご依頼お問い合わせはお気軽にどうぞ。

よくある質問

タグるとはどういう意味ですか?

SNSのハッシュタグを手がかりに情報を探す行動を指す言葉です。検索エンジンで調べるググるに対して、InstagramやTikTokなどで一般ユーザーの投稿を見ながら情報を集めるのが特徴です。

なぜ若者は検索エンジンよりSNSで検索するのですか?

検索結果の上位に広告や宣伝目的の記事が多く、信頼しにくいと感じているためです。SNSなら自分に近い一般ユーザーの正直な体験談や実物の写真を確認でき、買い物の失敗を避けやすいと考えられています。

企業はタグる世代にどう対応すればよいですか?

商品名やブランド名でタグ検索されたときに、リアルなユーザー投稿が表示される状態をつくることが大切です。写真を撮りたくなる商品体験や、覚えやすい公式ハッシュタグの設計が有効です。

この記事を書いた人

石崎健人
石崎 健人 | 株式会社バイデンハウス マネージング・ディレクター

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。

この記事の監修者

三上広葉
三上 広葉 | 若者の研究所 所長

2025年より株式会社バイデンハウス取締役。バイデンハウスの飲料・食料、美容・コスメ、SNSのリーダーシップ。Z世代、サブカルチャー、海外トレンドへの幅広い知見を強みにZ世代マーケティングの支援を得意とする。

この記事を書いた人

石崎 健人

外資系コンサルティング・ファーム等を経て現職。バイデンハウスの消費財、ラグジュアリー、テクノロジー領域のリーダーシップ。生活者への鋭い観察眼と洞察力を強みに、生活者インサイトの提供を得意とする。2022年より株式会社バイデンハウス代表取締役。2025年よりインタビュールーム株式会社(リサート)取締役。リサート所属モデレーター。